寿司と物理学
碌星らせん
寿司と原子
「本日は、ご高名な寿司物理学者の江戸前博士をお招きしました」
「エー、ラッシャイ、江戸前です。よろしく」
「寿司物理学というのは、普段私達に馴染みの薄いものですが、どのようなことをするのでしょうか?」
「物質の根本というのは、大まかに言うと寿司にあるのです」
「寿司ですか?」
「殆どの物質は、原子からできています。原子は、原子核に電子が乗っかって出来ているわけです。この構造は寿司と同じことになるわけです」
「確かに、言われてみればよく似ているかもしれません」
「しかし、全ての寿司が安定しているわけではありません。シャリが上手く握れていない寿司は、口に運ぶ途中でシャリが崩壊します。これが寿司の崩壊です。これがいつ起こるか、というのは確率的にしか予測出来ないんですね」
「予測できないのですか」
「独立して起こるものなのです。しかし、外から高速で醤油が割り込んで来るであるとか、外的な要因によって寿司分裂が起こるということはあります」
「ネタがシャリと剥がれてしまうこともありますよね」
「そちらは、どのような寿司でも起こりうる現象です。ネタとシャリのサイズが合っていないと、ネタがシャリと剥がれている状態の方が安定ということになる。これがイオンの寿司です」
「あまり美味しくはなさそうですね」
(中略)
「なので、この理論をSUSY大統一理論と呼ぶわけですね。これが実証されれば、あらゆる寿司の成り立ちが解き明かされるとされています」
「板前さんが握っているのではなくてですが」
「そうではないのです。例えば最近ではロボットが握ることもありますし、家庭で手巻き寿司を作ることもあります。寿司の成り立ちというのは一つではないのです」
「夢のあるお話ですね。最後に。博士にとって、寿司物理学の魅力というのはどこにあるのでしょう?」
「それは何と言っても、税金で寿司が食べられることですね。内緒ですよ」
博士の好物は、納豆巻きだそうです。
寿司と物理学 碌星らせん @dddrill
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます