ゲーム・オブ・寿司ーンズ
minmr kasmi
空前絶後の寿司ファンタジー開幕のお知らせ
物心ついたときから回転寿司が好きで好きで、とにかく親と外食するとなったら飽きもせずに毎回毎回、回転寿司をねだっていた。
──うん。
誕生日に気を利かせた両親がお前そんなに好きなら今日は特別だぞ、って回らない寿司屋に連れて行ってくれたこともあったけど、回らない寿司屋ではダメなのだ。いくら高級でも、築地から毎日新鮮なネタを仕入れていても、職人さんがマッツ・ミッケラン似の鋭くてちょっと影のあるいい感じのイケメンだとしても、ネタがいつも萎れててゆとり丸出しの高校生アルバイトが敬語のつもりで語尾に毎回「~ッス」ってつけながら注文を受ける、近所の回転寿司(祝・開店七周年)には敵わなかった。
お寿司と言えば回転寿司。それ以外は認めません。
─へえ。
なんでってよく聞かれるけどぶっちゃけ自分でもよくわかってない。
でも初めて回転寿司に行った時、灯りに照らされてキラキラと光るネタがまるで宝石のように思えて、そんな色とりどりの宝石が目の前に現れては消え、現れては消えを繰り返すのに、まるで巨大な宝石箱に入ったようで楽しかったことはなんとなく覚えている。
だからお寿司といえば回転寿司。お寿司が好きなんじゃなくて、私は回転寿司が好きなのだ。
──なるほど、合格。
合格?
──そう、合格。この世界の人々の中でもひときわ回転寿司愛の強いあなたのような方を、我々は千年待っていたのです。
我々? だれ??
──次元の扉の向こう、あなたたちとは少しだけ違う世界に広がる寿司世界、通称寿司ーンズの民。
寿司ーンズ?
──さあ、寿司の娘よ。私とともにいざ、寿司を救う旅に出かけようではないか!
えええぇーーーっ!?
……はっ!
気がつくと私はベッドから転がり落ちていた。
昨夜遅くまで寿司のネタについてスマホで調べながら、いつの間にか寝たらしい。
そう、寿司だけに、ネタ……。
──いやいや、この作品夢オチじゃないから。
……えっ?
ゲーム・オブ・寿司ーンズ minmr kasmi @isdr_kadokawa
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