物語の舞台は1940年代初頭、まだ人々に「戦前」の余裕がたっぷり残されていた頃。
主人公は名を変え品を変え、様々な特殊任務に日々励み、誰も知らない場所で治安を守り続けていた男・明智湖太郎。
どこまでも冷静沈着、真面目で実直な彼ですが、そんな彼の「任務」とは少し違った日常はどうも穏やかとは言えないようで……。
幽霊からデート、漫才に未来人、何でもありの様々な事情に巻き込まれ、時に自分自身に苛立つことはあるものの、明智は様々な人と不思議な関わりを持っていくのです。
そして、そんな彼を彩るのは「1940年代初期」と言う、穏やかさや華やかさの裏で少しづつ情勢を覆う黒い雲が湧き始めた、閉塞感も感じる世界。物語の随所に現れる描写が、読む人をノスタルジックかつ不思議と先進的な時代へと誘ってくれるでしょう。
果たして、次に明智が巻き込まれる非日常的日常は…?
独特の雰囲気が心地よい作品です。
ラスト・ライブまで読了した感想です。本編を読んだ時も少し思ったのですが、キャラクターの造形が本当にしっかりしていて、それがエピソードとがっちり噛み合い、エピソードを読み進めるほどに、各キャラクターが深みを増し、愛着が湧いてきます。そしてキャラクター小説と言ってしまうには脚本があまりにもしっかりしており、恐らく両方の相乗効果で、この一連の作品世界がとてつもなく魅力的になっているのでしょう。短時間でこれだけ(繰り返しになりますが)しっかりしたものを書ける実力には感心させられます。僕には真似ができません。
そしてここも見逃せないところかと思われますが、作家としての十五さんの圧倒的善人スタンス。十五さんも人間ですから暗黒面も持ち合わせていることと思われますが、作品を書く上での正しさのスタンスにブレがありません。本当に眩しい世界観をお持ちになっている……これほどまっとうな人間、まっとうな物語を、真っ直ぐに書く人は珍しい。そこが魅力であり武器であり、同時に弱点にもなるのかもしれません。別の作品では別の顔を見せているのかな?
とにかく続きを読むのが楽しみです。
前作、諜報員明智湖太郎の続編。
いえ、続編ではないですね。
この物語はこの物語で独立した雰囲気ですし。
とにかく堅い名前のついたタイトルにそぐわぬコメディです。
そう、コメディです。
ミステリーとタグが付いていますが、どこまでいっても
面白いコメディです。(ミステリー要素はしっかりありますよ)
明智さんの日常がこんなに面白いとは思いませんでした。
こんなこと言えば明智さんに失礼ですが、本当にそんな感想です。
何だか人間臭いというか、憎めないというか、大ファンになりました。
多分、皆様も読んでしまうとファンになると思います。
それくらい良い味出してます(*^-^*)
おススメと言うより、愛読書にしましょう! と締めくくります。