明智に「平凡」な日常は来ず

物語の舞台は1940年代初頭、まだ人々に「戦前」の余裕がたっぷり残されていた頃。
主人公は名を変え品を変え、様々な特殊任務に日々励み、誰も知らない場所で治安を守り続けていた男・明智湖太郎。

どこまでも冷静沈着、真面目で実直な彼ですが、そんな彼の「任務」とは少し違った日常はどうも穏やかとは言えないようで……。
幽霊からデート、漫才に未来人、何でもありの様々な事情に巻き込まれ、時に自分自身に苛立つことはあるものの、明智は様々な人と不思議な関わりを持っていくのです。

そして、そんな彼を彩るのは「1940年代初期」と言う、穏やかさや華やかさの裏で少しづつ情勢を覆う黒い雲が湧き始めた、閉塞感も感じる世界。物語の随所に現れる描写が、読む人をノスタルジックかつ不思議と先進的な時代へと誘ってくれるでしょう。

果たして、次に明智が巻き込まれる非日常的日常は…?
独特の雰囲気が心地よい作品です。

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