第23話 アフター

「はっ!!!」


あの状況だとかっこつけて飛び込むしかなかったんだけれど、そのまま落ちたらどうしようとか思ってかなり怖かった。


目を開けると知らない天井が広がっていた


「ここは、、病院?」


身体が重い。向こうにいる時に夢でちょっと見たことがあるような気がする




「透。おかえり」


声が聞こえる方を向くと、じいちゃんとばあちゃんが座っていた




気が付けば涙がこぼれだす




「どうしたんだい? 怖い夢でも見たのかい?」


「いや、別に」


「ただ、、」


「ただ?」


「2人とも歳取ったな」


「と、おる、、」


2人の目に涙が浮かぶ


「長いこと待たせたね。ただいま」


2人が俺に抱き着いて泣き、それを受け止めながら俺も泣いた



「俺が産まれてからずっと、知っていたんだよね?」


「それはもちろん。どれだけ待ったことか」


「未来を変えないでいてくれたんだね」


「一度も迷ったことはなかったよ」


「最高の2週間だった」


「あぁ、それは私たちも同じだよ。透が産まれて、どんどんあの時の透に近づいて行くに連れて、確信に変わったよ」


「そういえば、透に会ってほしい人がいるんだ」


じいちゃんが嬉しそうに電話で話し始める


「まさか、、」


病室の扉が開き、2人の男が入ってくる


「とおるぅ。久しぶりだなあ」


「た、たなかぁ!!」


田中と抱き合う


「透、久しぶり」


「純平は相変わらずだなぁ!!」


純平ともハグをかわす


「俺たちから言わせれば透が一番変わってないんだけどな!」明が突っ込む


「そうだよな。俺は祭りの後すぐなんだけど、みんなからすると数十年ぶりだもんな~」


「実はちょくちょく子供の時から会いに行ってたんだぞー。当たり前だけど俺たちとの記憶が無いもんだからすごく歯がゆくてなぁ。やっと俺たちに会いに行ってくれたって明から連絡があったもんだから飛んできたんだよ」


「めっちゃおもしろい話だよな! これが現実なんだぜ!」


「私たちの秘密だね!」


18の青年と7,80歳の4人がまるで友達のようにわいわい話している。はたから見たらそれは不思議な光景だろう。


そんなこんなで、俺の2週間のとんでもない体験はこれで終わりだ


まさかタイムスリップしてじいちゃん、ばあちゃんとバンドやったり恋愛したり、ケンカもするなんて誰も思わないよね


だから、ちょっとみんなに聞いて欲しかったんだ。


正直、この2週間についてはわからないことだらけだ。でも、考えるだけ野暮ってものだ


この後俺たちは北高に行き、曲を演奏しようとしたんだけどみんな体力が落ちてて演奏にならなかったのは秘密だ


(終)

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僕は、おばあちゃんに恋をする いづる @Satoshination

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