悪役令嬢の怠惰な溜め息

作者 篠原 皐月

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Good!

第一章から主人公の性格的に好みが分かれると思います。

主人公が異世界転生した瞬間とか完全他人の家って認識になりそうなんですが、そこで叫びだしたり

退屈と言って侍女の提案全否定でチェスダメでオセロが正解とか難しすぎる。
後この世界にオセロが存在してたら楽しくオセロしてたんだろうか、、。文句言ってそう。

正方形が伝わらないって話があるけどチェス盤とかチェスのマス目は正方形なんじゃないかとかいろいろ気になるところがあります。

序盤抜けたら面白くなるんだろうなという想像はしてるのですが、気になるところが多くて人を選ぶ感じがします。

★★★ Excellent!!!

悪役令嬢物のひとつではあるんですが、多くの作品と違う点は主人公の恋愛事情は描かれない、ヒーロー不在ということですね。
敵役の婚約者とその恋人は確かに、「非常にすくいようのないムカツク性格」に設定されているんですが、やることなすことが支離滅裂過ぎて、性格的なバカ王子というよりは、何か先天的な障害さえ感じさせるレベルになっています。非難するべきと言うよりは、治療すべきなのではないかと。
そのため、主人公がバカ王子を嵌める、その陰湿さばかり強調されてしまって、何か女のどす黒い嫌な部分を目の当たりにしてしまったような、そんな印象も持ってしまいます。
アレルギー体質の人に「好き嫌いの激しい我儘な性格だ」と批判しているような、筋違いの横暴さを主人公に感じさせてしまう原因になってしまっています。
主人公は転生者ですから、初対面の時点では精神年齢では、主人公30歳くらい、バカ王子8歳くらいなのですが、大人として善導してあげようという姿勢は微塵もなく、破滅フラグを避けるために自己保身に走り、バカ王子を利用する、いいように転がす、そんな姿勢も目につきます。
主人公に共感できれば爽快なのでしょうが、できなければ、かなり嫌な部分が目に付く主人公であるのも確かです。
ヒーロー不在、ロマンスの欠落も含めて、主人公=女性性を絶対肯定している視点がフェミニズム的であって、徹底的に男性不在の、というよりも自分以外が不在の「女性の、女性による、女性のための」悪徳令嬢物という印象を受けます。
そういう意味では、大枠ではこのジャンルのフォーマットに沿いながら、かなり新しい小説です。その新しさ自体が、興味をそそられるのも事実です。

★★★ Excellent!!!

中世を舞台にイケメンたちと恋をする乙女ゲーム『クリスタル・ラビリンス』の悪役令嬢として転生したエセリアの周囲を巻き込んで我が道をいくキャラが愉快。

公爵令嬢という何不自由無い身分ながら娯楽のない世界に我慢できず、リバーシやダイヤモンドゲーム、人生ゲーム、けん玉といった玩具を開発し、さらにはBL小説を執筆して名家のお嬢様たちを腐女子に染め上げ、己の”楽しい”を追求する暴走ぶりが面白い。

ゲームのシナリオと同様に政略結婚で結ばされた馬鹿王子との婚約を破棄するため、メインヒロインと王子をこっそりと焚き付けるのだが、自分は慈善事業や社会貢献でクリーンな評判を保ちながら、王子側をそそのかして不正や失態を重ねさせて人望を落としていく腹黒さが実に悪役らしい。

エセリアの掌で踊らされているとも知らず、自分から墓穴を掘っていくバカップルの醜態ぶりが滑稽で、ニヤリと悪い笑みがこみ上げてくる。

(必読!カクヨムで見つけたおすすめ5作品/文=愛咲優詩)

Good!

孤立無援なヒーロー(王太子)の奮闘を描く!周りにいるのは、賢い王・王妃(悪役令嬢に心酔している)。可愛いヒロイン(悪役令嬢の小説通りに行動する)、頼れる学友(変装した悪役令嬢の仲間)。王太子の明日はどっちだ!
と書きましたが、もちろん王太子の話ではなく悪役令嬢側で話が進みますので安心してご覧ください。

★★★ Excellent!!!

ハチャメチャな主人公かと思いきや、周り(主に2人)はさらにハチャメチャ。主人公が自らの望みのために暗躍するが、あまりの苦労ぶりに思わず同情。迷惑千万な登場人物に下った鉄槌のくだりは爽快ですらある。カクヨムで読んだ令嬢系物語の中では個人的に最高の出来だと思った。