カクヨムが誇る、傑作キャラミスの最前線……!

時系列的には『よくある兄妹〜』の後日譚に当たるため、続編あるいはスピンオフとして湯島兄妹やその他常連メンバーの成長ぶりやお馴染みな感じを楽しみつつ読み進めることも出来ますし、もちろんこちら単体だけでもミステリの醍醐味を堪能することは出来るのですが、自分としては前作との〈相違〉の部分がとても興味深く、ミステリの新境地に切り込んで行くような気迫を感じました。

前作の特徴であった解決の提示方法を本作では意図的に変更し、語り手も新キャラが担当しているほか、バトルものを彷彿させる格闘シーンを登場させるなど、更なる野心作となっているにもかかわらず、コンテストの主眼でもある働く人々の詳細や職業間の軋轢が丁寧に描かれ、何より良質なエンターテインメントとして仕上がっているのが素晴らしいのです。特にブラコンの描写は一層拍車がかかっておりまして、最早芸術の域に達しているといっても過言ではないでしょう。

こちらは完結しておりますが、『よくある兄妹〜』のほうは今も更新が続いており、新しいエピソードも公開されています。
そこに事件がある限り、そしていかなる障碍や困難をも既知のものとして乗り越えんとする「あるある、よくある」の決め台詞がある限り、湯島兄妹は何度でも現れるでしょう。時空を超え、物語の枠を超えて……!

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