燃えと萌えが両立した、じっくり読みたい青春小説

この作品、試合描写が実に良いです。
書き込みすぎず、しかし押さえるべきところをキチッと押さえて描かれる試合シーンは、読んでいてコーチと一緒にプレイを見守っているかのように感じました。

また、メインとなるヒロインの5人それぞれが、自分のコンプレックスと向き合い、それを乗り越えて成長してゆく過程が実に青春という感じで、ときどきむず痒く、ときどきウルッと来てしまう……そんな感覚に背中を押され、気付いたら最後の数話は一気読みでした。


問題は、一話一話がかなりの文量があるため、腰を据えてじっくり読まざるを得ないため、スマホでちょっと読みには向かないこと。
そして、一話の中で視点保持者からの描写、俯瞰的三人称での描写などのカメラワークがめまぐるしく変わるため、読んでいて時々「ん?」と思って読み返すことがあったことでしょうか。

しかし、この問題はそっくりそのまま、この作品の魅力でもあります。
タイトルに書いたとおり、じっくり読むにはこれ以上ないくらいに最適の作品ですし、スポーツ青春モノが読みたいと思ったらもう一度最初から読んでも良いかな?と感じるほどです。
描写に関しても、カメラが切り替わるタイミングでは大きく行間が空いていますからそれを目安にすればいいでしょうし、なによりこの作品が群像劇であること……明確な主人公やヒロインを設けず、全員が主人公であり、全員の視線を通してしかキャラクターたちの魅力は分からないという表れとも取れます。

問題のように見える点が、実は何よりの魅力……
まるで本作に出てくるヒロインたちそのもののようです。
まだ連載は続いていくでしょうから、これからも一読者として、このチームを応援していきたくなる、そんな一作でした。


そして最後に。
長身女子萌え!
引っ込み思案の長身女子が、自分の身長は魅力なんだって気付いていく……ホントいいですよね。

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