ホラーの苦手な私ですが、全然怖くない!むしろクスリと笑える場面が盛りだくさんの楽しく賑やかなお話でした。
主人公の勇人くんが働くのは、飛騨ダンジョンから人間界に出てきた魔族たちが経営する温泉宿。
人間界の常識が通用しない彼らに振り回されつつも、温泉宿になんとかお客さんを呼び込もうと奮闘する勇人くんの苦労が笑えます。
登場するダンジョンの元住人達は実に個性豊か。
吸血したり、首や手がポロリと取れたりとちょっとホラーな特徴がありますが、それぞれがそれぞれの理由や欲求のために勇人を慕い、可愛らしい一面をのぞかせます。
そんな一面に時々ほだされてしまう勇人くんですが、彼らはやはりモンスター。
物語で一番の癒しキャラがカタカタと音を立てる二人の骸骨くんというあたり、キャラクターの濃さが伺えるというものです(笑)
モンスター以外にも、勇人くんが憧れるご当地アイドルのみかんさんや、4280円を連発するコンビニ店員さんなど、人間側のキャラも強烈。
青年漫画誌のようなちょっとしたお色気ネタをはさみつつ、ホラー成分控えめのコメディを満喫させていただきました!
この作品の設定……
施設は抜群。露天風呂は高級ヒノキ造り。客室は広い。料理はバイキング形式で、なかなか凝ったものを出す。極め付けは周囲の宿の半額以下のお値段。……それなのに客が来ない!それはそこに“何か”がいるから。
どんな恐怖が襲いかかってくるのだろうと、心臓をバクバクさせながら読み進めていくと、そこに待ち受けていたのは、なんと愉快なお化けちゃんたち(モンスターと言った方がいいのでしょうか?)で、しかも全員従業員でした♪
このレビューのタイトルにも書きましたが、こんな“ホラー”小説は初めてです!ホラーなのに笑っちゃう。
怖いのが苦手な方でも大丈夫。安心してお読みくださいませ!
主人公である勇人は、仕事の疲れを癒すために岐阜高山市にある超格安温泉へと宿泊することにした。しかし超格安であるからには何かしらの理由があるわけで、その理由はなんと――全従業員が人外の不死者っ(>_<)
そりゃ、超格安ですよね。でも出てくる人外は皆全く怖くなくて、なんだかとっても親近感の湧く不死者たちなんです。
首のとれる咲さん。吸血鬼のマリー。骸骨君――。ほら、怖そうじゃないでしょ?
うーん、こんな人外がいるのなら私も温泉で働いてみたいかもっ。
ぶっちゃけホラー要素は薄味でコメディ色が強いですが、それがウリとなっている本作。読めば、きっと彼ら人外の虜になるでしょう。皆さんも本作を読んで有意義な時間を過ごしてみませんか(⌒∇⌒)