第2章(終) 被害者

倒れてうごめいていた、まだ息の有った重症のジョッパー戦闘員8名も至急、緊急病院へと搬送され集中治療室で処置を受けている。


沢田は、青山通りを疾走する車内から」本庁へ確認の指令を送る。


「被害者は、まもなくそっちへ行く。受け入れ準備は、万全か?!」


沢田の乗った車とサイクロイド号は並んで警視庁の建物の前に止まる。

警視庁正門入り口から堂々と入ってゆく2人。

正門ドアの左右には、ライバー事件のマニュアル通りに敬礼をした2名の制服警官を配置済み。


半歩後から続き歩く沢田は、ちらっとライバーを見る。

仮面越しでもわかるライバーの表情は、あの…ヒーロー独特の…気持ち悪いくらいのすがすがしさが感じ取れた。


本館3階奥には、『秘密組織ジョッパー対策本部』と書かれた専用の部屋があり、ライバーだけを導き入れる。

すぐに部屋のドアが閉められ、音もなく静かに、ぶ厚い扉の3重ロックのシステムが稼動した。


ライバーを保護し終えた沢田は、自分のデスクがある特殊捜査課に戻りホッと一息つく。


この時代、生命科学の急速な発達と大衆化により、とんでもない事件が起り始めた。


この誘拐監禁改造事件もその一つ。


無料配布の求人誌やネットを見て集まった求職中の若者を監禁し、強制的に改造人間に外科手術を行ってしまう恐ろしい犯罪。


改造が終わった被害者は洗脳処置を行った後、悪の犯罪組織の敵側と正義の味方側にと分けられ、様々な場面設定での戦いを強要されるのだ。


つまり大昔の特撮テレビヒーロー物を再現させ社会を驚かせようとする、愉快犯のしわざ。

主犯の1人を逮捕しても模倣犯が次から次へと現れる。まったく困った世の中だ。


さっき収容されたライバーも被害者。あれほどの大規模改造を受けていては、もとの人間に戻すには、かなりの時間と費用、精神的、肉体的苦痛をともなうだろう…


ビッビッビッと電話が鳴る。


回線をオンにする。


練馬区の《ひよこ幼稚園》の人工知能監視カメラからの映像と音声報告だった。


「秘密組織グロジュウジ軍と名のる悪の団体が現れ、怪人2名で幼稚園の先生のスカートをめくるなどの幼稚なセクハラ行為を実行中」


「なおかつ、戦闘員数名が幼稚園児たちをゆっくりと追いかけ廻し、泣かせてしまっています」


沢田は、「うううっ!!」と頭を抱え唸った後、気持ちを切り替え立ち上がる。


「他に報告は!!」


知能カメラは実況を続ける。

「はい!今、正門から違法改造オートバイ5台を確認」

「それぞれ違った色の全身タイツ姿の仮面をかぶったドライバーが乗っています。色は赤、緑、青、桃、黄…」


今度の事件を担当する 支援AI モモ の助言を受け、すぐに現場へ向かう沢田。


車に乗りこむ寸前、重要な助言が 支援AI モモ から届く。


「ああ…そうだった」


沢田は、警視庁特殊技術課の森本へ緊急の指令通信を行う。


「至急、巨大ロボ処置班の準備を」


今回は… 何としてもラスト展開の巨大ロボット同士の戦いは阻止しなければ…



  《 お わ り 》

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ヒーロー、仮面ライバーの正体 アンクロボーグ @ancloborg

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