ヒーロー、仮面ライバーの正体

アンクロボーグ

第1章 戦い

警視庁特殊捜査課の刑事 沢田は、現場の鋼楽園遊園地へと「イノーヴァ」(ニッサンの水素自動車)を走らせていた。

秘密組織ジョッパーと名のる、謎の(!?)団体が遊園地内で暴れまわっているらしい。

正義のヒーロー仮面ライバーも現れ園内は騒然としていた。


遊園地内に設置されている人工知能監視カメラからの映像と共に、音声での解説も加えられていた。


「現在もジョッパーと仮面ライバーとの戦いは継続中」

「これまでの同等の事件履歴から判断し、戦いはすでに終盤をむかえつつあります」


車内に映し出されている3D動画には、改造人間 イヌワシバズーカーを中心に複数の同じ戦闘服を着込んだ派手な柄と色の戦闘員がライバーと戦っていた。


「これからの予想される展開は、ライバーのライバーキックの波状攻撃を受けた改造人間 イヌワシバズーカーが10メートルほど飛ばされ、遊園地の管理棟壁面へ激突後、絶命。『おのれライバーああーーー!!』と叫びながら中規模の爆発を起すものと思われます」


沢田は、「よし、あと5分でそちらへ行く。一般入園客の避難状況を再確認しつつ記録を続行!」と遊園地設置の人工知能監視カメラに指示を出しアクセルを踏み、手動走行レーンから自動走行区画に車線変更させた。


現場へ到着すると数台のパトカーと人間の警官、数台の警察所有の武装ドローンが静かに飛び回っていた。

辺りは、絶命し爆発を済ませた怪人イヌワシバズーカーの肉片と、ジョッパー戦闘員の死体2体と重症の8体が倒れて、戦いはすでに終わっていた。


そして、その中心には堂々とした姿のマフラーをなびかせ仮面ライバーが立っていた。


もちろん少し離れた場所には、ライバーの愛車、サイクロイド号が…


車から降りた沢田は、いったん立ち止まり、この状況時での対応マニュアルを頭の中で確認し頭部に接続されている支援AI タキ の助言を聞きながら現場へ近づく。


沢田は、あえて厳しい表情を作り上げ、維持しつつ、正義の味方のライバーへ警察手帳を提示、一定の距離を測りながら近づき慎重に話しかける。


「ライバーよくやってくれた。これで日本の平和は、守られた。ありがとう」


今回のライバーは初期型のリニューアル前のバージョンのようで、右足は前に出し、このバージョン特有の立ちポーズである、少しのけぞり過ぎの姿で堂々と腕を組んでいた。

「当然のことをしたまでです。俺を改造した、にっくきジョッパーが存在する限り戦いをつづける」

と、そう定型のセリフを吐き、サイクロイド号にさっそうとまたがり、走り去ろうとした。


「まてまて!!待ってくれ!ライバー!」


支援AI タキ のうるさい助言を耳元に聞きながら…

「こ・これから、ち・ちょっと本庁へ来てもらってぇぇ!!…今後のライバーと警視庁との共同の対ジョッパー戦略で相談したいことがあるのだが…」


「俺は、いつも独りだ…孤独な戦いを…」と遠くの空を見つめほざく! ライバー。


「お願いだ!ライバー!私の顔を立てると思って協力してくれ!!署では総監が待ってくれているんだ!」

ここでなんとかライバーを引き留め、説得しなくては…


支援AI タキ の的確な助言もあり、数分後、やっとライバーの了解を取り付けた。


沢田は、「イノーヴァ」に乗り込み本庁へ行くように車載COMへ指示し、自動運転モードに設定。

イノーヴァは自動運転特有のスムーズな動きでハンドルを切り、スピードを上げた。

後ろからは、ライバーも、おとなしくサイクロイド号に乗り華麗な運転で付いて来てくれている。

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