地球の生物には、「食べる」「寝る」と言う行為に加え、「恋をする」と言う3つ目の欲求が存在するそうです。勿論それは人間にも当てはまり、ハロウィンやバレンタインデーなど、日本の経済を動かす原動力にもなっているようです……が、もしその重要かつ当たり前の要素が異常なものだと見做されてしまったら……?
常識が全く異なる世界で苦しめられる主人公は現実の「非リア充」と重なる一面もありますが、恋の病は重症に陥りやすい、と言う例え通り、その思いは深刻さを増すばかり。そして、果てしなく心を埋め尽くす気持ちが迎える結末は……。
考え方(非リア充側)によってはユートピア、でもやはりディストピアに近い世界を舞台にした、恋愛と言う心を考え直させるような作品です。
ジュネーブ人類共通宣言――。それは人間に恋愛感情は不要だという内容のものであり、増加したストーカー殺人への対処法であった。
かなり興味を惹かれる題材です。だからこそ読んだのですが……正直地獄ですね、周囲が恋愛感情を失っている中、自分だけが有しているなんて。
そして何が怖いって、本来生物として異常である状態が、健常とされていることです。数の論理って恐ろしいっ。
読み終わって思ったのは、これ、少年と少女が逃げ出して世界を敵に回すという長編作品にしたら相当化けそうだな、と言うこと。ディストピア物の傑作になり得る可能性もあるんじゃないかな、と思ったりもしました。
恋愛しないなんて、ほんとつまらないよねっ! 皆さまも是非、ご一読を(⌒∇⌒)