現代に生きる私たちの必読書

現代の裏社会や、激変する世界情勢を描いた社会派サスペンス。
あまりこういったジャンルになじみがない人にも、いやなじみがない人にこそ、お薦めしたい作品です。
自分がそういう部類の人間なのですが、そんな私でも脱落せずに(むしろ夢中になって)読めました。

横領事件やペーパーカンパニー、IS、ハイジャックと、話が進むごとにスケールが大きくなっていき、最終章ではずっとハラハラドキドキの展開が続きます。
描かれるシーンはどれも非常にリアルで、こんな事件がいつ自分の身近なところで起こってもおかしくないのだ……と思い知りました。
特に、膨大な資料に裏打ちされているに違いないIS関連の記述は知らないことが多く、頭を殴られるくらいの衝撃がありました。

扱うのが難しいテーマを、見事にエンタメ作品に落とし込んだ作者さんの努力と力量に頭が下がります。
叶うならば、現代日本に生きる人たち全員に読んでほしい、そんな一作です。

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