第14話 うちの子らがハマったもの
子どもって、妙なものにハマるよね、というお話。
長男は保育園の年少くらいのとき、お迎えに行くとなぜか、靴の中敷きの下から頭皮の髪の毛の中までびっしり砂が詰まっている時期があった。
それも、毎日洗髪もして靴の砂も取り除いているのに、翌日保育園にお迎えに行くと砂まみれになっている。
おら、ちょっとそこでジャンプしてみろと言うと、チャラチャラ言うコインではなく砂がザラザラと落ちてきた。
砂かけ婆だったんだろうかこの子と思いつつ担任の先生に理由を聞いてみると、先生が笑いながら話してくれたことによると。
『長男君。最近毎日、砂場に穴を掘ってはその中に寝転がってお友達に埋めてくれって頼んでるんですよ』だって。先生は止めさせた方がいいですか?と聞いてくれたが、いいです、好きなだけ埋められておいてくださいと応えておいた。
そして長男は来る日も来る日も埋まり続け、ある日ぱたりとその遊びを止めてしまった。今となってはその頃のことは全く覚えていないらしいが、あの時は何かツボにヒットしたんだろうなぁ。
一方、次男のツボにヒットしたのが、植物の採取だった。採取といっても、公園や道に植えてあるオシロイバナやその他もろもろよくわからない種を拾ってきて、うちの庭に植えるんだ。
その癖は数年続き……未だに止まっていないので、庭にはよくわからない植物がわさわさ生えている。草抜きをしたくても、どれが草でどれが次男が植えたものなのかわからず、適当に引っこ抜くと次男が泣きながら抵抗してくるので非常に厄介。
そしてこの勝手に種を拾ってきて庭に埋める次男の癖が……この夏、非常に困った事態を引き起こしてくれたんだ。
七月ごろ、庭のフェンスのあたりに何やらツル草っぽいものが生えていた。あれ?昔植えた朝顔の種が土の中に埋まってて、それが芽吹いたのかな……と思ったんだそのときは。
しかし、そのツルは異常な速さで増え続け、一か月後にはフェンス全体を覆うほどになっていた。しかも一向に花が咲かない。ここで、こいつは朝顔じゃないと気付いてはいたんだが、面倒くさいのでそのまま放っておいた。
そして九月に入ったころ。このツルはさらに伸びてフェンスを覆いつくしただけでは飽き足らず、庭を横切ってツルを伸ばし、家のヒサシの下に置いてあった自転車を『文明が滅んで100年後の世界で発見された自転車』みたいにツタまみれにし、さらに家の外壁まで登って我が家をツルで覆いつくそうと浸食しはじめいた。
まさかほんの二か月足らずで、庭がツルだらけになるなんておもってもみなかった。
しかもこのツル。ツルや茎の部分だけでなく葉にまでびっしりと細かい毛が生えていて、ちょっと身体が引っ掛かっただけで皮膚がミミズ腫れになるんだ。ツルのせいで庭に入れない状態になってしまった。
やばい、これ以上放置すると我が家が真っ緑になってしまう!
ようやくツルの怖さに気づいた私は、刈り込みばさみでチョキチョキと数日格闘しましたさ。
だってこれ、庭師さんとかに頼んだら幾らすんだよ!ということで、自力で撲滅。頑張ったおかげで
途中で燃やしてやろうかと何度も思ったけど、そんなことしたらまだ二十年以上ローンが残っている我が家が燃えちまうので自粛。
教訓。ツル、怖い。
でも、ツルがなくなった庭で、また次男は何かをせっせと植えている。今度は何が生えてくるんだと、ちょっと戦々恐々としてます……。
何の役にも立たない『育児日記』 飛野猶 @tobinoyuu
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