エピローグ 真実の愛
あれ以来、おそらとは完全に疎遠になっている。
後悔はない。あの日の選択は間違っていなかったと、今でも思っている。
それでも、時々……ふとした瞬間に、言葉にならない不安が僕を襲う。
本当にこれでよかったのか。
もっとほかの道があったんじゃないのか。
漠然と、そんなふうに思ってしまうのだ。
だから僕は、そんな気持ちを正直に打ち明けた。
「比呂弥先輩」
ふたりきりの屋上で、彩愛がまっすぐに僕を見つめる。
「私がそばにいます」
澄みきった二つの瞳に、強い意志を宿して、彩愛は言う。
「おそらのぶんまで、私が先輩を愛します」
「……彩愛」
「私を選んでくれたこと、後悔してほしくないから。『彩愛を選んで本当によかった』って、心の底から思ってもらえるように……精いっぱい、愛します」
彩愛の細腕が、僕の背中を優しく抱いた。
「今よりもっともっと好きになってもらえるように、努力し続けます。だから、どうか――」
ぎゅうっ、と。
強く強く。
僕は、彩愛の身体を抱きしめた。
温もりが、全身に沁みわたる。
――愛が、伝わる。
「これからも、ずっと私のそばにいてください」
大切なものを失った僕たちが、最後に手にした宝物。
かけがえのないそれは、真実の愛のかたちをしていた。
クズとクズの純愛 かごめごめ @gome
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