この作品で触れられた「仙台」という都市は、何度も天下を狙い続けたという野心家・伊達政宗によって名付けられた経歴があり、その後も野心を持つ子孫たちによって様々な騒動があったと聞きます。今となってはすっかり昔の事、平和な杜の街になっているはずなのですが……。起承転結の「転」の部分が非常に秀逸で、短い文章の中で一気に引き込まれる短編作品です。
東は太平洋、西は山形県に接している「呆れるほどに大きい」S市には、陸の孤島(団地)がいくつも存在しているらしい。団地同士が争ったらどうなるのか。何を目的に、どのような戦略で、いつ争いを始めるのか。登場人物の語りを通して「ゴミ袋にはS市と書いてあるけれど」という団地の悲哀を追体験しましょう。さぁ、立ち上がれ。団地よ!
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