群馬への熱愛と○○

宮原にこ

群馬への熱愛と○○

群馬の運動会では、紅白でなく赤城・榛名・妙義の三組に分かれるらしい。言うまでもない、群馬が誇る上毛三山である。

赤城は雄大な山裾が素晴らしい。ゆったりと広がるその様子は、小さな頃に抱っこしてもらった母の胸のよう。いつ見ても「母なる赤城…!」と思ってしまう。榛名はがっしりしていて男っぽい。妙義は岩がゴリゴリしていて思春期真っ最中。見た目はそんな感じの三山である。

群馬で暮らすとこんな風にいつも視界に山がいて、とてつもない安心感がある。それがまず素晴らしい。


次に食べものが美味しい。残念ながら海なし県なので魚介類は角上魚類(新潟から魚を運び、関越道沿いを制する北関東最強の魚スーパー)に頼り切りだが、野菜果物の美味さと豊富さは類を見ない。下仁田ネギや嬬恋のキャベツ、館林のきゅうりなど産地としても有名だが、群馬の人は大体知りあいの誰かが畑をやっていて、そこからもらうモロヘイヤやら菜っ葉やらがやたらとおいしい。油断してると椎茸なんかももらえて、バターと醤油で炒めるだけで感動で涙が出そう。こんにゃくも有名だが、機械練りの工場コンニャクとは全くちがう味がする。群馬の手練りのこんにゃくと普段スーパーで売っているコンニャクを同じ種類の食べ物だと思わないでほしい。歯ざわり、優しい味わい、群馬のこんにゃくには愛がある。ちなみに畜産も盛んで肉も美味だが書ききれない。


そして何より温泉がすごい。水上、四万、伊香保、草津が四大温泉だが、やはり圧倒的なのは草津であろう。泉質、湯量、街の雰囲気、伝統的な宿、あらゆる面で日本でも有数の温泉である。ピリッとする酸性泉で、殺菌効果が劇的。夏の暑い日、朝に草津温泉に入って一日遊んで汗まみれになったが何の匂いもしなかった。汗がくさいんじゃなく、雑菌の繁殖なんだ!と初めて知った。酸性が強すぎて川にそのまま流せないらしい。中和してから流してるらしいが、自然に湧いてるのに危険なやつなのである。


お気づきのように私は群馬を熱愛しているが、不満がある。それは知名度の低さである。上毛三山の美しさを県外の誰が知っていよう。野菜果物は美味しいが素材の力に頼りすぎて加工が弱いため名物料理がない。宇都宮の餃子に完敗する体たらく。草津温泉に至っては群馬県だと気づいてない人が多すぎる。長野じゃないし!ついでに北軽(北軽井沢、軽井沢の中でも上品なエリア)も群馬だし!


頑張れ、群馬。素材がいいからって甘えずにPRして!もっと観光客も移住者も来ていいと思う。これだけ素晴らしい環境で東京まで50分ですよ。新幹線だけど。人が少なくなって、イノシシに支配されないためにも皆さん来てください。

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