金沢、名前を聞いてもイメージは浮かびません。そこには創作する力が眠っており、作者のように考える余地があるということだと思います。できればもう少し、突っ込んだ所まで話が聞きたかったです。
観光で訪れるだけではわからない金沢の楽しみ方、それは音でした。金沢の街を歩いたことがあっても気づかないことがたくさんあって、初めての人もそうでない人も金沢に行きたくなるエッセイだと思います。
私が死ぬまでに行ってみたい場所のひとつに、金沢があります。ずっと前から意味もなく憧れていたのですが、まだご縁がなく、行ったことがありません。こちらの作者さんは、金沢はアピールポイントに欠けているとおっしゃっていました。ですが、私は金沢はそのくらいのほうが品があって良いなぁって勝手に思っております。観光客が多すぎると雑然としちゃう気がして。金沢の美しさは、エレガントに尽きる。憧れは、冬。ひんやりとした空気を感じながら、裏千家で和菓子を頂ければ、雅びな幸福感に包まれそうです。
武家社会が根付いていた土地柄、華やかな文化が今なお残っている金沢の景色を、音をテーマに綴った作品です。日本の古き良きを感じられる場所が少なくなっているなか、新しい着眼点で金沢の魅力を紹介していて、かつて訪れたことがある私も、また金沢に行ってみたくなりました。
人間には五感が備わっていますが、観光となるとどうしても「視覚」「味覚」の情報に頼りがちです。本エッセイでは、それらの点に加えて「聴覚」でも楽しめる事をクローズアップしている為に、現地の様子がより立体的になり、「目に浮かぶ」のではなく「行った気」になれました。コンテストの都合上、文字数制限はありますが、もっとこの著者の手で金沢という街を表現してもらいたいものです。
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