参考文献とあとがきに代えて
この作品は、普段ネットで調べるくらいでほいほい作品を書いてしまう私が、初めて本腰を入れて、よっしゃ調べたる! と資料を読み漁ってから書いた小説になります。
とはいえまだまだ実力不足と資料収集不足ゆえ、作中の知識などは資料をほとんどそのまま引用したようなものや、原典に当たらず孫引きになってしまっているものなど、至らない点は数えきれません。
それでも私にしてはそれなりに頑張ったでしょう、ということで、ここに参考文献と、その資料をどのように使ったかなどを書いていこうと思います。冗長になるかとは思いますが、書籍名は『』で囲いますので、参考文献だけを知りたい方はちゃちゃっとスクロールしてやってください。なお、敬称は全て略させていただきます。
『文庫版 妖怪の理 妖怪の檻』京極夏彦 角川文庫
現在の私の妖怪観の基礎基盤を作った評論です。京極夏彦は間違いなく私に一番影響を与えた作家ですが、以前は「ミステリ作家として」という前置きがついていました。無論妖怪は昔から好きだったのですが、適当に調べておけばいいや程度の認識でした。しかし妖怪を題材とした作品を書いていた身としては、一度きちんと勉強しなければという思いが燻り続けており、そこで手に取ったのがこの評論でした。もっと早く読んでおけと昔の自分をずっと責め続けています。
『カドカワムック 怪 第零号~0045』角川書店
前述の著作で言及されており、これは読まねばと中古でバックナンバーを全て揃えました。これを通して読破したことで、現在の私の妖怪観が完全に固まったんじゃないないかなーと思います。
『怪異学の技法』東アジア恠異学会編 臨川書店
こちらも前述の『怪』の中で言及されていたもの。主に参考にしたのはこの中の『林羅山と怪異』(木場貴俊著)です。作中の産女に対する問答は全てここからと言っても過言ではありません。
『江戸怪談集(上)(中)(下)』高田衛編・校注 岩波文庫
浅井了意、山岡元隣が登場するのは当然この著作があってこそです。主に参照したのは巻末の解説になります。
『妖怪事典』村上健司 毎日新聞社
その名に恥じぬ妖怪事典の決定版。はっきり言って、これ一冊あれば小説(いわゆる「あやかしもの」)を書く上で登場させる妖怪の知識には事足ります。
『江戸の妖怪革命』香川雅信 河出書房新社
白状します。この小説の、およそ8割はこの著作からの発想です。それくらいの名著です。最近角川ソフィア文庫から文庫版も出たことから手に入れやすいのでとにかく買って読んでください。
『鳥山石燕 画図百鬼夜行全画集』鳥山石燕 角川ソフィア文庫
国書刊行会版じゃなのかよ! というお叱りを受けそうですね……。
『百鬼解読』多田克己・著 京極夏彦・絵 講談社文庫
石燕はとにかく情報が少ないので、前述の二つと合わせていいようにでっち上げました。
『妖怪図巻』京極夏彦・文 多田克己・編・解説
『続・妖怪図巻』湯本豪一・編著
石燕と天狗の問答には、この中の京極夏彦の文を大いに参考にさせてもらいました。というかまんまですね。
『別冊太陽 知のネットワークの先覚者 平田篤胤』米田安勝・荒俣宏=編 平凡社
『平田篤胤が解く 稲生物怪録』荒俣宏
平田篤胤の評論は(手に入る範囲では)少なく、そのためこの二冊だけで平田篤胤の情報を得たことで、直接登場させることはしないことにしました。
『伝円了』平野威馬雄 草風社
『妖怪学の祖 井上圓了』菊池章太 角川選書
元々第四章はいつか書けたらいいな程度の構想だけがあり、公募に使いまわす際にページ数が足りなかったので、大慌てで書いたという経緯があります。元々出すなら円了だろうとは決めてあったので、すぐに手に入る「妖怪学の祖~」のほうを参照していたのですが、東京観光に行った時に神保町の古書店で「伝円了」を見つけ、ぎょっとして購入しました。
『江戸を舞台にした時代小説をより楽しく深く味わうために 時代小説「江戸」事典」山本眞吾 双葉文庫
そしてこの小説を書くにあたっての最大の問題点、私が全然時代小説を読んでいない――を解決するために参照したのがこの著作です。
また、そのほか多くのインターネット上のホームページなどを参考にさせていただきました。
というわけで『人工憑霊蠱猫シリーズ』みたいにあらゆるジャンルの参考文献をずらーっと並べて圧倒するだけの読書量も、参考文献について登場人物に解説させるだけの技量もないわけですが、一応私にしては読み込んだほうじゃないかということで列挙させていただきました。
調べ物というのがなにから始めればいいのかまるでわからなかった私が最初に頼りにしたのが、小説の巻末の参考文献を辿るということでした。これが誰かの一助になれば幸いです。
ばけものづくり 久佐馬野景 @nokagekusaba
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