La liberatrice 『風花 ～舞い散るは きみへの想い～』美弦と猗綺子の対話集

第23話 本篇公開

　……あの、猗……じゃなくて。霖（ながめ）さん。

「はい。

　ごめんね、名前、変えちゃって」

　いえ、それはべつに構いませんが。そのうち慣れるでしょう。

「ありがとう。

　久しぶりだね、美弦くん」

　そうですね。ずっと、キーボードの上で指がほぼほぼ静止してましたからね。もう大丈夫なんですか？

「大丈夫、ではないかなぁ。

　続きは書けてない。

　新作も書けてない。

　思いつくアイデアはあるけど、時間が経つと忘れたり、取るに足らないモノに思えたり。気分が乗っていかないです。休職してた時期と似てる」

　就労できてるなら、いいです。

「あ、なんかハードルを下げてくれて、ありがとう……」

　それと、パーパとマンマのお話、ここで公開することにしてくれたみたいで。息子としては、ちょっと複雑なんですけど、気にしてくださっていた方も居られますし、決意できて良かったですね。

「うん。

　不義理になるかもしれないから厭だったんだけど、新型感染症とか、世界的規模で生存危機を感じてね。もう、いつ死ぬか分からないと思ったら、とりあえず誰かの目に触れるところに置いておこうと思って」

　そうですか。データは第4幕まであるんでしたっけ？

「……途中、一箇所、抜けてるところがあるのだけど……」

　埋めましょうね〜。時間は、多少、あるんですから。

「はい……（笑顔、めっちゃコワい！）」

　これ書いてないで、プロローグ③の続きもデータを写しましょうね？　いくら推敲しながら写したいからって、時間のかかる遣り方を選んでいるんですから、さくさく進めなさい。さくさく。

「み、美弦くんが厳しく成長してる⁉︎」

　いえ、堪忍袋の尾が四散しただけです。盛大に弾けましたからね。それはもう、広範囲に及ぶほどの威力で。

「わぁあああ、ごめんなさいーっ‼︎

　とりかかります！」