第壱章 北辺の空(1923年6月北方軍管区ノルデン戦区)
戦争未経験者がいったいなぜこんなことをしているんだろう。
そしてなぜチームが苦手な私にパートナーがいるのだろう。
しかも、幼女。同い年なのだろう。
名前は「ターニャ・デグレチャフ」。学校も同じ年に入学卒業。
幼女のくせしてふてくされたような顔に、なぜか私も同じ気がしてならなかった。
「フェアリー09。フェアリー09。」
彼女を見ていたら、無線が入った。
「こちら、フェアリー09。」
応答をする。
「フェアリー07と共に行動してくれ。」
わかってるよ。
溜め息ついて、フェアリー07と呼ばれるターニャのほうをみたら、こちらを見返している。
きっと、「どんだけくだらない無線だったんだ。」とでもいうように。でも無表情で。
多分、無線がきちんと伝わるかの確認だろう。
なんかもうこういう同じような感じの人と繋がると、嫌なことしかおこらない。
別のところに移動でもしようかな。こうなったら、学校の先生とかそういう危険じゃない普通の仕事にしてほしい。もう給料も減ってもいいからとにかく命を危険にしたくない。
つまり、私も普通の人間なのだ。
そう、普通じゃなくこんな呑気なことを考えられるぐらいの人間なのだ。
そして、この仕事じゃない仕事をするのであれば祈る。
「ターニャとは別の職場にしてくれ。」と。
あの憎たらしいような顔に、指を絡み合わせやりたくはないが、祈ってやるのだ。神に向かって、なんて怒るだろうがこっちからしたら、迷惑もんなのである。
そんな彼女も、「移動したい。」なんて顔してるからもしかしたら、なんて不安になってしまう。
ターニャと一緒の職場にいたくない理由は、ただたんに自分に似ているから。
あの無愛想なとこ。前より少し低い細い体型。双子と間違えられる容姿。
まるで鏡を見ているかのようだ。
そして、何故か中身も似ているようだ。
ようだ。というのは、まだ全て確認できていないということだ。
ターニャにも趣味があり、それを表に出していないだけなのかもしれない。
だけど、今のところ確認しているのでは、ほぼ一致。というわけだ。
こんなにも、共通点があるのに、お互い話しかけもしないっていうのは、気味が悪いから。ということでいいのだろう。
少年戦記 二徐仍 @0719asuka01
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