全て読み終わったあなたへ

後記

 日記を読み返すという機会も中々ないものだからと思って私も一応読み返してみたわけだけど、自分でいうのも笑っちゃうくらいには中々ひどいものだね


 読んでいて当時の私は知りもしなかったこと、分からなったこと、事態は認識していても細部が分からなかったこと、うん結構あるし、折角自分の日記を読み直すなんて貴重な経験もしたから少しだけ捕捉を付けておこうかな

 と言っても大きなモノを捕捉すればそれで特段の問題もない気もするね

 取りあえず正しい事の顛末について。こればっかりは当時の私が知ることのできないことばかりだったしある種仕方がないんだけど、実際もう少し興味を持ってもよかったんじゃないかな、過去の私よ

 実の両親とは、現時点ですでに縁が切れていて私は祖父母の家に養子として迎え入れてもらっている

 この辺のことは中学卒業時点ではまだ決着がつけられていなかったんだよね。で、高校の時に一悶着あって、結局裁判まで行って祖父母が私の親権を取るに至った

 知り合いのいない田舎暮らしは少し不安もあったけど、何とかやっていけた

 両親のその後について私が知っていることは少ない

 私がいなくなったことではけ口を失った元母が精神の均衡を崩したとか、腹を立てた元父が暴力をふるって離婚騒ぎになったとか、なんかそんな話は聞いたけどもう私には関係ないことなので深く聞きたいとも思わなかった

 でも、こうも思う。多分私があそこにいたところで遅かれ早かれそうなっていたんじゃないかって


 子供は成長する生き物だ

 だけど、私の元母はそれに合わせて成長することができない人だった

 だからあんな愚にもつかないようなことをしでかしてしまったんだと思う

 数年前にSNSで炎上したアカウントの中に元母のものがあることを知って、なんだか乾いた笑いが出てしまった

 生きることは難しい。昔からそう思っていたけど最近では難しいの意味が少し変わってきた

 昔の私は生きることそのものがひどく難しく感じられて、命があることそのものの才能がないんじゃないかって思っていた


 今は違う

 人は誰でも生きていて、だから自分を活かすために生きている

 だけど誰よりも何よりも私が最大限私を活かすということの難しいことか

 そういう生き辛さ以外の生きることの難しさみたいなものをひしひしと感じている。でもそれが生きるってことなのかなって、今ではなんとなくそう理解している

 それとお姉さんとは今も時々連絡を取り合ってる。というかこの間一緒に飲みに行った

 というかこの日記に出てくるお姉さんが謎の人物過ぎてなんだか私の知ってる人じゃない見たいに思えてくるな

 いや、当時の私にとってはヒーローみたいな存在で、だからそれはそれで合ってるといえば合ってるのだけど、そこはかとなく面白い

 彼女はまぁごく普通のOLで今は結婚して子供もいる。私も時々会うけど確実に将来は美人になると思う

 本人はちゃんと愛せてるか不安だよとか言って時々愚痴を吐いてたりするけどそういうふうに悩むんなら大丈夫だろうなって、私は思う

 だって私の元母は支配することを愛することだとはき違えて暴走したんだ。だから、不安であるということは間違いに気が付けるということだって、そう思う


 閑話休題

 日記のことに話を戻して、六年生の時の修学旅行で泣いたって書いてるのに、中学一年では全然泣いてないって書いてるのダメじゃんって自分で思ったんだ

 でも、当時のことを思い出そうとすると今でも黒いモヤみたいなものがかかってておぼろげにしか思い出せないんだよね

 多分、思い出すことを拒否してるんだと思う

 当時からそうだったんだろうなって、今にしてそう思う

 だから記憶が飛ぶように過ぎていくし、一週間はとても短いと思っていた

 今でも一週間は長くないと思ってるけどね、でもそれとはまた少し違う感覚で、今はそう悪くないって思ってる

 まぁこれからまた、生活は変わるしこの先どう転ぶかなんてわからないけどね


 そういう訳で、私は元気でやっています

 まだまだ未来は無限に広がっているんです。なんてね

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ごくごく自然な家庭で育てられた少女の手記 加賀山かがり @kagayamakagari

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ