第3話「魔女の脅威」
僕たち一行は促されるまま、ともにゃんと共に『魔女』を打ち倒すべく、歩きだしたのだけれど・・・。
ともにゃんの行く先は街のようだった。
「ともにゃん?あの・・・、街に行くの?」
僕は躊躇いがちにそう言った。
明らかに魔女の居城と思わしき、砂漠の宮殿を目指すものだと思っていた僕はそこに違和感を覚えたからだ。
「まずは街に行って魔女の手がかりを探さないといけないからね」
そう言って、ともにゃんは楽しそうに僕たち一行を街へと促す。
街につくまでに何度かヴィラン達と戦闘を繰り広げる僕たちと共闘する、ともにゃん。確かに今まで戦ってきたのが分かる。手際よくヴィランたちを退かせる、ともにゃんに僕たちは驚いた。
「そういえば、ともにゃん、空を飛んでいたのよね?魔法が使えるの?」
と、思い出したようにレイナがともにゃんに聞いた。
ともにゃんは当たり前のように答える。
「当たり前だよ。さっきから魔法を使って戦ってるでしょ?」
「ちがくて、空を飛べるなら、空から行けば、ヴィランと戦闘しなくて済んだんじゃ・・・」
「なにを言っているんだい?僕たち、魔法少女は魔女の手下をやっつけるのもお仕事の一つじゃないか。例え、あの手下たちが元々は善良な人々であったとしても・・・」
「「!?」」
「な、なんでヴィランが元々は『想区』の住人であったことをあなたは知っているの?あなたは何者なの!?」
「だから、魔法少女ともにゃんだよ。まあ、あの知人があの魔女の手下に変身するところをみてしまったからね。だから知っているんだ。でも、街の人たちには内緒にしておいて、混乱すると思うから」
「ともにゃんって、すごいね」
僕は思わずそう呟いてしまった。
だって、人知れずこの『想区』のヴィランを倒し続け、おそらくは知人すらもやむなく倒したのであろう彼にむかって、僕はそんな言葉しか言えなかった。
僕たちの知らない、この『世界』の破綻とは別に戦いを続けるともにゃん・・・。
仲間もいないのに一人で挑み続けるなんて、僕には到底できそうになかった。
「照れるなぁ・・・」
と、ともにゃんは顔を赤くして笑った。
「あ、街に近づいたね。みんな、くれぐれも、自分の正体が魔法少女だって気づかれたらいけないよ。街の人たちにとっては、魔法を使う僕たち魔法少女も魔女の手下だと思われているからね」
配慮と思慮に長けた彼はそう言って、唇に人差し指を置いて、「秘密だよ」とイタズラっぽく笑った。
街についた僕たちを出迎えたのは、街の人々ではなく、ヴィラン達だった。
まあ、なんとなく、察しはついていたのだけど・・・。
「くるるる・・・」
こうして、僕たちはまたしても、ヒーローとコネクトして、ヴィランたちと戦闘を行う。その戦闘にもちろん、ともにゃんも参加してくれて、難なく僕たちはヴィランたちの撃退に成功した。
街の中に入る事ができた僕たちだったのだが、街には人っ子一人、だーれもいなかった。そう、無人の廃墟と化していたのだ。
一体、街で何が起こったのだろうか・・・、僕がそう思っていると、ともにゃんが呟いた。
「魔女の仕業だ・・・。一足、遅かったみたいだね。まさか、僕がいない隙をついてくるなんて予想できなかった・・・」
悔やんでいるようだった。けれど、彼は俯くことはなかった。
「悔やんでいても仕方ない。一刻も早く、魔女を倒して、街の人たちを助け出そう!」
ともにゃんはそう言って、歩き出した。
すると、シェインが手をあげて言った。
「ともにゃんさん、失礼ですが、魔女がどこにいるのかを探しに街に来たのではなかったのですか?」
「そうだよ。でも、これだけ強い魔力の跡が残っていれば、魔女の居場所なんてすぐに見つけられる・・・」
僕たちには見えないのだが、どうやら、ともにゃんには魔女の魔力の跡が見えるらしい。
「さあ、行こう。魔女はこの先の結界の中にいるはずだ!」
その言葉に異を唱えたのは、レイナだった。
「ちょ、ちょっと待って、ともにゃん。魔女って結界の中にいるの?」
ともにゃんは当たり前のように答えた。
「そうだよ、結界の中で、人間を手下へと変えるんだ。だから、魔力の跡が色濃く残っているんだ」
とにかく、僕たちはともにゃんと行動を共にすることにしたのだった。
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