はしれエロス


俺はエロスという。おととい告白して付き合う事になった彼女の名はセリーヌ。

今日は彼女の家にお呼ばれしている。

そう、僕たちは今夜、

体の契りを交わすのだ。


しかし彼女は死んでしまっていた。

自宅で多くの警官達に囲まれ遺体となっていた。

彼女は殺されていた。

刑事達は容疑者が二人いると言っていた。

第一発見者の警官が私が発見した時は鍵がかかっていた、とも。

しかし今の俺にはあまりどうでもいいことだった。

俺は吐き気を催したと嘘を言ってトイレに駆け込んだ。

不謹慎かもしれないが俺は、

彼女が死んだ事よりも、エッチが出来ないと知って、

トイレでせんずりをこいた。


すると世界に異変が走った。

10回擦った時に果てた、そして時間が10時間巻き戻っていた。


巻き戻った時間をどう使うか?

もちろん彼女の元へ走る。いますぐセリーヌの元へ。

彼女の自宅に付いたが追い返されてしまった。

来客があるらしいし俺との約束は夜からだと。

俺はその来客が男と聞いて不審な顔をしたのかもしれない。

彼女は身元が分る名刺を見せてきた、疾しいことはないよと。

俺はその名刺から会社をタウンページで調べその男の元へ走った。

何故か、それはその刑事達が言っていた容疑者の一人の名前だったからだ。


息を切らしながら会社へ押し掛け男を呼び出した。

小さな会社だった。ひょこひょこ出てきた男を俺は殴りつけボコボコにした。

再起不能になるくらい、病院にかかるくらい。

これで彼女の元へ行くのは不可能だ。

辺りで女性社員が悲鳴を上げていた。

俺は逃げた、走った。


彼女の元へさっき(一回目)にいったよりも遅く自宅についてしまった。

しかし辺りはざわついていた。

警察たちだ。

彼女は死んでしまっていた。

俺は泣きながらトイレに駆け込んだ。

また!エッチできなかった!!

そう叫びながらせんずりをこいた。

5回くらい擦って果て、そして世界が歪んだ。

5時間前に戻っていた。


俺は彼女の元へ走った。するとちょうどセリーヌが自宅から出てきたところだった。

どうやら向かいのマンションのパンツが飛んできて部屋のベランダに入ってきたから届けて来るという。男ものだった。その持ち主はパンツに名前を書いていた。

その名前は見覚えがあった。

そう、あの刑事達の言っていた容疑者の一人だ。

俺はそのマンションの何回のどの部屋かを聞き、彼女からパンツをひったくって

その部屋へ走った。

そして男が出てきてボコボコに殴りつけ…、しかし始めて反撃をくらった。

なかなか手ごわかった、かなりの時間を要したが外に出られないくらい傷めつけた。


そしてビッコを引きながら彼女の元へ走った。

俺もいい加減傷だらけだが絶対に彼女とエッチするんだと自分を鼓舞して走った。


走ってばかりだ。割と疲れた。

しかしやっと俺は彼女とエッチが出来


しかし彼女はまた死んでいた。



今回は俺は第一発見者なのか。

なにはともあれ、悲しい。

こうもエッチができないなんて。

他の誰かじゃ駄目なんだ。

彼女とエッチがしたいんだ。

犯人は誰だ。

二人とも倒した。なのになんで。

俺は必死に推理する。

誰だ、誰が殺した。

10時間前に商社のアイツを倒した。場所はかなり遠い。

5時間前に向かいのマンションのアイツを再起不能にした。

そういえばと思い返した。

事件当時部屋は密室だったと。

じゃあ?誰が第一に発見した。

あの警官はなんて言ってたっけ?

「私が発見した」

だって?

部屋の影で影がのそりと動いた。

そして俺の首にロープが食い込んだ。


この警官が忍び込んでいたのか・・・

その悪い警官はさらに今俺を殺そうとしている。

気が遠くなりそうになる。

いや…だ…彼女とエッチができないまま死ぬなん…て…


俺は無意識にズボンとパンツを降ろしていた。

そして疲れのせいか一回擦っただけで果てた。

世界が歪み、1時間前に遡った!


俺はあのパンツ男と闘っていた。なんとか勝利した。

俺は超走った!走りまくった!彼女の自宅へ!

今俺はあの向かいのマンションから彼女の元へ一直線!

走った!彼女のマンションに着いた!

走った!階段を上り走った!

走った!長い廊下を走った!

廊下の先のドン付きの彼女の部屋の前にあの警官が立っていた。

俺は走った。その勢いで飛び蹴りを食らわした。

ボコボコにした。もう「許してください」と言えない程再起不能にした。

ガチャリ、とドアが開いた。

セリーヌがおそるおそる立っていた。

彼女は…無事だった!!

俺は肩で息をした。

走り抜いた甲斐があった。

これでエッチができる。

しかし彼女はドアを閉めた。




……

走り抜いた結果がこれだ。

走り、抜いた、な。


終劇

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る