じゅもん
「めりゃぞるーま、ひゃばだるご、ばぎ!」
「そんなの嘘だ!建前だよ!ただ俺に目の前で死なれるのが迷惑で言ってるだけだ!」
じゅもん
「引き留めようとしても無駄だ!オレはこの城壁から飛び降りてやる!」
「おん、まはらじゃ、うぐらびりゃ、あばっしゃ、そわか…」
「聞きたくないね!」
「うぃんがむでぃあむ…、べびおーざ。」
「そんなの分ってるさ!でもな、オレの命ほど粗末なモノはねえんだよ!」
「ぽっぽるんが…」
「はあ?もっぺん言ってみろ!」
「ぽるんが…」
「知るかよ!強いて言うならオマエの声がキモいんだよ!」
「………!」
「…けっ!ちょっと喋れるようになったからって俺に説教垂れてんじゃねえや、このアマ!」
「………」
「オレは…」
「………」
「以前のお前の方が」
「………」
「ちっ!何を言おうとしているオレは!お前が今、普通に喋ることが出来てる方がお前にとって幸せだって分ってるのに!」
「あーりさーん…」
「歪んでるぜ…オレってやつぁ。」
「………」
「意思の疎通さえできなかった。呪文みたく何喋ってるか分んねえ、前のお前の方が。」
「すぱーぶらてぃなだわーるぞ」
「………、へっ!いいんだ!賢者様は偉大なお人だ。こうしてオマエがまともに喋れるように魔法をかけてくれたのもあのお方のお陰だ。……あの人とうまく…やれよ」
「まなんだぶ!まなんだぶ!」
「そ、そうも言うさ!あのお方に俺なんかが敵うワケねえだろ?」
「け、けせらせ…らぁ。」
「なんだよそりゃ!言ってみろよ、そのオレの良さとやらを!?」
「………」
「ホレ見ろ。」
「り…りんぴょう、とうしゃー…」
「すぐに出てこねえじゃねえか。」
「ふんぐるい、むぐるなっふ、くとぅるふ、るるいえ、ぷぐな、……じゅる!ふたぐん!」
「なんか適当じゃね?…まあ、しょせんその程度よ。って、おい…?」
「ざけるらしらどじーけえるどー!」
「わかんねーよ!お前の気持ちなんて!」
「もんきりちょんぎりまぐなあど?」
「ちがう!賢者様とふたりで笑っているだろ!どうせオレなんて魔導師見習いどまりでなんにもできやしねえ。」
「ほんまにぃこ、まったんがー…」
「パーティーにオレがいてもお邪魔なだけだ。せめて、幸せな二人の前でオレは死」
「ばるす!」
「いってえ!何しやがる!?」
「えこえこあざくら、えこえこいしだ」
「な、泣くな…よ、おい。」
「りとばりて!うるす、ありあにょす!ばろ、ねっとりーる!」
「分った…」
「へろいむへっさい、む~」
「小さい頃から一緒だったお前だ…」
「ねくまくまなこんてくまくなまこん」
「ああ。オレが馬鹿だった、もう死ぬなんて、言わねえ…」
「ぱんぱいぽいぽいぷわぷわぷぷぷ。」
「許してくれ…小さい頃から一緒だったオマエが、遠くに行っちまうようで」
「あぶらかたぶらぬーぶらやっほぅ?」
「そうじゃねえ。ただ、心細かった…小せえ人間になってた。」
「ちゅうちゅうぬこかいな。」
「…どうしても伝えたいことがあるんだ。」
「ぱいぽぱいぽぱいぽのちゅういんがん?」
「これは、そうだな。意味が分らない呪文のような言葉だ。だから」
「まくはり…まくりた?」
「聞き流してくれたらいい。」
「………」
「『お前が好きだ』」
「…私もアナタが好き。」
「……今のなんて呪文だ?」
「おるぇのたーんぬ」
終
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