その真相は
「あれ?」
私は、新聞の広告欄を見て首を捻っていた。
「あれあれ?」
何度読み返しても、私が書いた広告文が短すぎるのだ。
「
我がウィスパー寄稿文店では、奇想天外、摩訶不思議な体験を一律:100ポンドで購入をしております。ご自身の体験でなくても結構ですが、ある程度の現実味のある体験であることを希望します。
尚、体験の詳細は投書者の住所・氏名・性別・年齢を記載の上、当店入口前またはアミューズブーシュ社1F 受付横に設置されてある投書箱へ投書して頂きますようよろしくお願いします。
※投書はノンフィクションに限ります。投書頂いた投書がフィクションであると判断した場合は代金をお支払い致しません。また、投書頂いた内容が他の新聞社などへ掲載された場合は違約金を頂くことになります。あしからず。
108 クイーンアンネ通り
ウェストミンスター
ロンドン SW1H9BU
ウィスパー寄稿文店店主
エマ・アドソン
」
ふんわりとしていながら、しっかり要所を抑えている私の会心の出来だったはず……なのに、実際に新聞に掲載されていたのは、
「
我がウィスパー寄稿文店では、奇想天外、摩訶不思議な体験を一律:100ポンドで購入をしております。ご自身の体験でなくても結構ですが、ある程度の現実味のある体験であることを希望します。
当店にお越し頂き、お話を伺えれば最良ですが、それができないお客様に関しましては、体験の詳細、投書者の住所・氏名・性別・年齢を記載の上、当店入口前またはアミューズブーシュ社1F 受付横に設置されてある投書箱へ投書して頂きますようよろしくお願いします。
108 クイーンアンネ通り
ウェストミンスター
ロンドン SW1H9BU
ウィスパー寄稿文店店主
エマ・アドソン
」
と言う広告文だった。
「ねぇ、レイチェル。私のお願いした広告文ってちゃんと本社に届けてくれた?文章が差し替えられてるんだけど。これじゃ!お客さんますます来ちゃう‼」
「うん。受付の所で、キャシーちゃんに会ったから渡しといた。相変わらずセンスの無い文章だって、笑ってたよ」とレイチェルも笑いながら言う。
この添削の犯人はキャシーだった。キャシーめ。
私は、婚約破棄の真相を絶対に彼女に教えまいと心に誓ったのであった。
ウィスパー寄稿文店主の憂鬱 畑々 端子 @hasiko
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