後編
「んぅ…、は…ぁ」
「世良、わかる? いまは東雲とキスしてる」
「……」
手錠の鍵は、マサキ様が本物を引き当てた。僕の勝ちと言いながら、いまだ目隠しに手錠をしているわたしに命令をくだす。
───世良は、僕たちのすること聞いてて。
「ン…ぁ!」
「いまは乳首をいじってるよ。東雲って色っぽい声出せるんだね。いつも全然しゃべんないから意外だな」
「マ、サキ様…! おや、め下さ…」
「あ。久しぶりに東雲に名前呼ばれた気がする。なんか興奮するね」
「ふッ! く…ぁ」
「声ガマンしなくていいのに。世良に聞かせてあげなよ。なんなら自分で言う? いま乳首を舐められてますって」
視覚を遮断されているため、どうしても耳から入ってくる東雲の息づかいや触れ合う音に聞き入ってしまう。
「世良、聞いてるー?」
「…………」
「世良、返事はー?」
「……はい。聞こえております」
「…も、ぅ」
「もう何? 早く下も触ってってこと?」
「ち、が…!」
「違うってことはないでしょ。結構ツラそうだけど、ここ」
「あぁ…っ! はぁ、」
手錠はしていても部屋から出ることはできるのに、身体が言うことをきかない。
マサキ様の命令だからというだけではないのはわかってる。
「せっかくだから、世良の目隠し取っちゃお」
「「……えっ」」
自分と東雲の声が重なった。
今ここで目隠しを外されてどうしたらいい。やっぱりさっきのうちに席をはずしておけばよかった。
目の前の東雲の姿を見て息を飲んだ。
真っ黒な鋭い瞳は隠れているものの、形の良い唇からは荒い息がひっきりなしに漏れている。
はだけたシャツからはツンと立ちあがった乳首がのぞいていて、すでにズボンと下着ははぎ取られていた。
ズクンと腰が脈打ったのを感じた。
まずい。ここにいたらまずい気がする。
無意識に東雲から目をそらす。
「ダメだよ。ここに指入るとこちゃんと見て」
「ぅあ、あッ! や、め」
「もうこんなにとろとろなのも媚薬のせいかな」
見てはいけない、そう思うのに。
「そろそろいっかなー」
そう言って突然マサキ様が東雲を床に横たえた。
後ろ手に手錠をしたままの東雲は、自然と横向きになりわたしの方を向いている。
「東雲、うしろで僕を感じてね」
「…ちょ、お待、ち下さい…!」
「あはは、焦ってる東雲も初めて見た。大丈夫、優しく突くからさ」
「マサキ様!」
わたしも声を荒げるが効果はなく、よく見ててと言いながらマサキ様はゆっくりと見せつけるように東雲の中に挿っていった。
◇◆◇
ぐったりして動かない東雲は、どこか美しく見えた。マサキ様はというと東雲の手錠をカチャカチャと外している。
「世良のも外すから東雲の身体をキレイにしてあげて」
「わたしが、でございますか?」
「そ。まだ媚薬残ってるかもしんないけど、襲っちゃダメだよ」
じゃあごゆっくり、とマサキ様は自分の部屋から出て行く。
東雲と2人。
部屋に残されたわたしはどうすればいい───?
ーENDー
二人の執事と手錠と紅茶 nachico @nachi_co
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