第3話 「お主のこれからに期待しておるぞ」
「では、『勇者とは何か?』決定会議を行います」
「うむ。まず考えてもらいたいのだが、どんな人物なら勇者と呼べる?」
「某、思うのですが……当然、魔王を倒せるくらいの戦闘力が欲しいですね」
まずは兵士長が発言する。
「そうじゃな。しかしそんな腕の持ち主ならば既に有名になっているじゃろう?」
「まだ成長途中なのかもしれませぬ」
「確かに、勇者とは実力を備えると勇者専用の技や魔法を覚える傾向がありますからな」
「成長待ちか……こればかりは仕方ないのう」
王妃も発言する。
「それに、名家の生まれと言う訳ではないのかもしれません。貴族や騎士ならば我々が把握しているはずですから」
「知名度がないということはそれも考えられますな」
「しかし王妃様。没落騎士の家系や亡国の王族の子孫なども考えられます」
「隠された出自が後に判明するということですか……あり得ますわね」
「では、『成長が見込めるもの』『今の身分は低くても良い』というのは勇者の条件に認定してもよろしいですかな?」
司会の大臣の言葉に皆は頷いた。
「うむ」
「異論はありませんわ」
「某もそれでよろしゅうございます」
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