核によって滅茶苦茶になった地球に存在する循環型コロニー『テラリウム』
空に鯨型AIが浮かぶ海中にも似たその世界で、人々は人工知能に決定権を委ね日々を安穏と暮らしている。
そして、そこに住む主人公、漣みさきは、テラリウムの本質に迫る大きな秘密を抱えていた……。
繊細な風景描写と重厚なSF設定を巧みに練り込んだ名作です。
キャラクターも生き生きとして、一緒にその世界に飛び込んでみたくなりました。
個人的にはコナミちゃんが好きです。
ああいう強がりな女の子はこっそり守ってあげたくなりますね。
読了後に自分の中で世界観が広がっていく構成も面白かったです。
更に続きが読みたくなりますね。
AIものを読みたい人にお勧めな作品です。
この物語の舞台はAIに支配された未来の世界。
こう書くと、私はどこか冷やかで硬質な世界を想像します。
しかし巨大な鯨型AIに見守られるこの物語は、まるで淡い色彩で描かれた水彩画のようです。
AIにまつわる言葉のほとんどがケルト神話に由来している点が面白い。
物語は繊細な筆致で描かれ、海をモチーフとした仮想空間の美しさがありありと想像することができました。
人魚の唄が響く中で繰り広げられるバトルシーンも幻想的。
特にコンピューターウイルスであるフォモール退治の場面では色とりどりの燐光が瞬き、日本刀が舞い、ビー玉が花火を咲かせるファンタジーのような戦いの中で『ウイルスソフト』『ダウンロード』というワードが使われているのがどこか新鮮でした。
ミサキの秘密、消えた父親、テラリウムの作られた理由――全てを知ると、もっとこの世界に触れたいと思います。
この作者はズルい。
ヒロインのメロウを可愛く書くことを目標にしたとあるように、実際このメロウはかなり可愛い。
人魚型AIという特殊な存在で、通常はホログラムであり、触ることは出来ない。
が、主人公もデータとなる仮想空間の中ではお互いに触れることが出来、しかもこのメロウちゃん、わざとおっぱいを押し付けてきたりする。
イイ。実にイイ。とても私好みだ。
が、それだけにメロウというネーミングは、私に「メロウにメロメロです」と寒いオヤジギャグを言えといわんばかりで作者様のニヤついた顔が目に浮かぶ。
くそう、なんて卑怯なんだ。可愛いからメロメロだと言いたいのに、そんなオヤジギャグを言ってしまった日にはもう身も心も本当のオヤジになってしまうではないか。
言わん、絶対に言わないぞ、メロウにメロメロなんて死んでも言ってやるもんか。
てことで「メロウをペロペロしたいぉ」って言葉を送っておこうと思う。おおっ、語彙が豊かな日本語バンザイ!
なお、このレビューはふざけてますが、作品そのものはシリアスなSFものです。
最後までひとこと紹介を「2xxx年、人類は人魚と出会う」にしようかどうか迷いました。
まぁ、それでも本文は変わらないのですが(ぁ