極限状況で見出す「美」

余計なものを徹底的に削ぎ落して「何か」を純化させるとどうなるか。怒りも悲しみも通り越した先の荒涼とした景色の中に佇むとき、人は何を見るのか。ちょっとやそっとの覚悟では決して触れられない領域が、ここにはあります。

各キャラクターの置かれた状況も、抱えた思いもさまざまです。見え隠れしている背景も重厚です。饒舌に引き延ばすだけでも大長編にできたであろう題材を、ぎりぎりまで圧縮して叩きつけたからこその凄絶さだと感じました。まさしく銃弾のように、読み手を一撃で貫く小説です。