こころをうつのは、傷みを描いているから

この物語がこころをうつのは、痛みを描いているからだとおもう。
わたしたちが生きていくには、なんらかのかたちで痛みと向き合う必要がある。
でも、これはなかなか難しい。
それは、往々にして騒々しく喧しいものになる。
けれど、ここで描かれている傷みはどうだろう。
まるで澄んだ液体のように透明で澄んだふうに、描かれている。
だから、こころをうたれるのだと思う。