第19片 走馬灯




夢うつつ、糜爛びらんな幸いに出遇であうとき

これが私の絶頂なのだと

これが私の最盛なのだと笑い

これ以上に天はなく

艶福なる思ひでは、衰滅の華の色

かげるばかりの最期を彩り

いのち尽きる刹那に、あはれとまわる走馬灯

馴染みの紫煙はゆらゆらくゆり

肌に染みる寸でで離れ

御代みよ見よ、そらにのぼりゆく


幸福な思ひでを乗せ

今生の灯はくるくるとまわる


今夜もくるくるとまわって……

あれよあれよと笑い転げて

冗談めかして息をとめたら

ぱたりと果てて御愁傷様

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中二詩集   八島清聡 @y_kiyoaki

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