日常のなかの勝利

助祭と修道女の純愛。

近年、某教会では耳を覆いたくなるようなスキャンダルが頻発した。にもかかわらず、世界中で未だに多くの信徒を集めているのはなぜか。その理由が、この作品には凝縮されていると感じる。

信仰とは前のめりになって排他的になるべきものではなく、日常のなかにこそ意味がある。懺悔室の常連客は、動機はともかくそれを実践している。
一度は絶望した助祭は、修道女に出会ったことによってそれに気が付いた(かもしれない)。

作品の舞台は、おそらく中世のヨーロッパに設定されているようだが、この物語はどの時代にもどの国にも置換できる普遍性を持っている。
ただ若干、読む人を選ぶ作品ですので、恐縮ですが星ふたつとさせていただきます。