第4話 拷問

「訊きたいんだ」

 ショット・ガンを構えながら、忍足おしたりは沈んだ面持ちで、ぽつりといった。

「香織は、いい教師だったか?」

「品川先生のことは」

 膝をつく盲学生――土方ひじかたは灰色の眼から涙を流しながら答えた。その口もとは痙攣するように震えている。後ろで束ねていた髪がほどけ、廃墟に絡みつく蔦のように乱れ落ちる。

「――のせいじゃない……」

「ああ? おれのききちがいか? まさかとは思うが、、っていったのか?」

「待て、おれはほんとうになにもやっちゃいな――」

 ドン!

 肩に激しい衝撃を感じながら、忍足は土方の下半身を撃ち抜いた。

 忍足がききたいのは、泣き言ではなかったから。

 空の薬莢が床に落ちた。金属音を響かせ、三発めを薬室に装弾する。

 それを合図に、悲鳴が響いた。学生服は皮膚とともに弾け、白く泡立つ脂肪がジュルジュルと蛆のように土方の足から這い出している。筋線維はズタズタに裂け、粘るような真っ赤な血が、けた傷口からとめどなく溢れ出す。

 睾丸は破裂しているだろう――ペニスは肉片と化しているにちがいない。

 火薬の臭いが一瞬で教室に充満する。

「質問の答え以外でおれが聞きたいのは」

 忍足は口もとを歪めて吐き捨てた。

「――香織への懺悔の言葉だけだ」

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