カツラ美女もいるよ、ワカハゲメモリアル~♪
そんなオープニング曲が聞こえてきそうな今作、主人公はハゲ一族に生まれ、ワカハゲに悩まされる高校生・鷲頭 眩輝。
ハゲコンプレックスでありながらも、前向きにハゲの呪縛から解放されようと頑張る彼の姿が実に眩しい。ホント、心からハゲましたくなるキャラだ。
その主人公の前に現れたのが、長髪の天然美少女ヒロイン・鷹山 美桂。
が、彼女には決して知られてはいけない秘密があり、それを偶然知ってしまった眩輝が色々とかき回されて、次々と貴重な毛根が死滅していくというのが今作の大まかな流れである。
物語中には何度かハラハラさせられるシーンがあり、「やめてあげて。もう眩輝の頭髪は0よ」と言いたくなることもしばしばだ。しかし、その大ピンチの度に取る眩輝の男らしい行動に、きっと誰もがかのブルース・ウィリスが語った「男ってのは髪の量で決まるんじゃない。ハートで決まるんだ」という言葉を思い出すことだろう。
彼が眩しく感じるのはきっと額の広さだけが理由ではない。
また、ヒロインの美桂も結果的に眩輝の毛根を次々とデストロイしていくが、それは決して本意ではない。天然ちゃんだから、頑張ろうとすればするほどドツボにハマるだけなのだ。
事実、眩輝のハゲが治るようにと願掛けをすると語るシーンなどは胸がきゅんとなる読者も多いのではないだろうか。少なくとも私はなった。そして頑張ると言った彼女があっさり頑張れなかった時は「美桂、てめぇぜってぇわざとだろ!?」と叫んだものだ。
生まれつきのトラブルメーカー、恐るべしである。
そんな彼らの青春物語、終わり方はやや唐突に感じるものもあるが、今回語られなかった先を想像するのもまた一興。
彼らが高校を卒業する時、眩輝の頭に髪の毛は残っているのか?
そして伝説の木の下で待っているのは美桂か、それとも効果100%の毛はえ薬なのか?
「ハゲハゲしい野郎どもの詩」が流れるエンディングだけはなんとか回避してほしいものだ。
デブをテーマにしたエッセイは既にカクヨム内で読んでいるのですが、まさかハゲをテーマにしたラブコメが存在するとは思いませんでした。カクヨム奥が深い。
本作の主人公は鷲頭眩輝(わしずげんき)くん。高校生二年生。「この名前でハゲてなきゃ嘘」と言えるほどのツルピカネームですが、親(ちなみにハゲ)が名前に込めた期待通りにハゲています。「二年のハゲ」と言えば校内のどこでも通用しそうなぐらいの勢いで若ハゲがアイデンティティです。そんな受験やら就職やらを彼方に放り投げて生え際の後退に悩み続けている高校生の少年が、とある美少女ととある秘密を共有するところから物語は始まります。
この作品の良いところはとにかく鷲頭くんが明るいところ。ハゲだけに。まあ実際はそういう物理的な意味じゃなくて、精神的に明るい。ハゲをコンプレックスにしてはいるのですが、卑屈ではないんですね。先生(やっぱりハゲ)に自分の使っている育毛剤を薦める程度にはオープンです。おかげでハゲネタに暗さや後ろめたさを感じることなく、素直に笑わせてくれます。
ヒロインの鷹山さんも良い。彼女は天然でポンコツなトラブルメーカーであり、これは調理の仕方を間違えると「うわあ。殴りたい」と思わせる危険な属性なのですが、作者様の筆力でちゃんとかわいく書けています。鷲頭くんは鷹山さんの「秘密」を守るために奮闘し、しかし彼女がポンコツ過ぎるゆえに予想していなかったトラブルに巻き込まれまくります。つまり守ろうとしているヒロインに背中から撃たれる構造になるわけで、ここでヒロインの魅力が無いと「もうそんな女捨てたら?」と冷めてしまうものですが、本作に関してはそんな心配はございません。少なくとも僕は、読んでいて素直に応援できました。
話の構成も伏線撒きと回収が巧みで良く出来ており、要所要所に挟まれる小さなギャグも面白く、自信をもってオススメ出来るラブコメ作品です。欠点は画的にアレなことと(漫画原作コン応募作品なのに……)、一部の男性読者にとってはホラー作品に変貌しかねないところでしょうか。毛無し族の皆様は心を強くしてご覧になってください。……さ、リアップしよ
何ともデリケートな題材で小説を書いてくれやがったんだこのお方は…!
頭皮の悩みは今や中年男性のみならず、女性にも広まりつつあります。
飽食だからこそ栄養が偏り、頭皮が育たないなんてこともあるようです。これはもはや現代病と言っても過言ではないでしょう。
そんな深刻な悩みを、ここまで面白おかしく書き上げてしまうざっくばらんな開き直り!
ハゲネタはコントなどで定番のギャグとはいえ、あの手この手でハゲにからめたさまざまな事件を巻き起こすアイデアに驚かされました。
主人公の若ハゲを解決するのではなく、ヒロインの秘密を守るために奔走する…という変則的なアクションも白眉です。
演劇に、遊園地に、体育祭に…さまざまな状況で訪れる困難を乗り越えた二人が微笑ましいです。
ハゲという悩みを知り尽くしているからこそ、奇妙なシンパシーを抱いてしまう。連帯感がやがて親愛へと変わって行く。
こんな恋愛、見たことない!
斬新、の一言。
面白かったです。太鼓判。
題名(多分ときめきメモリアルのパロディ)をはじめとする各章題のパロディや台詞・会話なども楽しく読めました。
激しい運動をすると秘密がバレてしまうヒロインちゃん、普段の体育の授業やスポーツ大会なんかはどうごまかしてるんだろう…?