主人公とヒロインの青春ドタバタ劇…じゃ、ないんです、それでは表現できない髪の毛=ハゲ(!?)が織り成す物語。
独特な云い回しと古典的な流れに新鮮なオチが、テンポよく噛み合って笑いながらもキュンキュンしてしまいます。
主観ですが。
終始、人物表現や話の切り口にキレがあり、おもわずクスっとしてしまいながらも、どこか共感やギュッと心を握られた気持ちになれる内容、読み進めながらしっかり人物や情景が浮かび上がってくるのは前回小説同様のキレッキレ感は「さすが」。
今回、完全創作ながら髪の毛という素材でこうまで沢山の展開や感情劇が盛り込み描かれていて新しさも感じた中で、サッパリしているので飽きは感じない。
内容は読んで感じてもらわないと伝えられないような純情一直線ハゲストーリー。
物語の展望を読み手が「きっとこうなるのさ!いやまてよ?」と楽しみながら読めるのでオススメです。
「三角定規の穴」などの独特な表現は本当に好き!
カクヨムにてモノクローム・サイダーやパステル・プロムナードで高校時代に知り合った奥さんとのなれそめやその後の自身の結婚生活を書いた作者の鯨武長之介氏が今回は完全にオリジナルな小説に挑む!
読み始めは最近薄毛に悩んでいるという作者がその苦悩を高校生男子に当てはめてみたという話なのかと思った。そして学園のアイドル的存在である少女と出会ったというのだから、これは典型的な学園生活ラブコメなのではと思いきや物語は急展開へ…。
育毛剤をいつ使おうと悩む主人公の心境を細かく描写できるのは実際に薄毛に悩んでいる作者だからこそである。
そして前2作で鍛えた(?)レトロゲームのパロディが効いた文章であるが、今回は昔のテレビ番組やマンガにまで幅を利かせて健在であるのでご心配なく楽しんで頂きたい(笑)。
作者初のオリジナル小説であり、「若ハゲ男子」と「○○女子」(○○の中身は読んで確かめて!)と言う類を見ない組み合わせも相まって、確かにそれまでの作品とは「毛」色はかなり異なっています。
…が、随所に見られる名フレーズやキャッチコピーのパロディや「えぇ~!? この後どうなっちゃうの~?」と、続きが気になってしょうがないあの引き際等は確実に過去二作の系譜上に存在している事をひしひしと感じさせました!
両作に勝るとも劣らない、ドキドキハラハラな展開を、皆さん共に楽しもうではありませんか♪
…と、ここまで書いていてあらためてモノクローム・サイダーの「事実が小説より気になる。」のコピーの偉大さに気付かされましたとさw