女子高生が鬼婆(本当に角を生やした老女だ)に変身し、若い娘たちをはらませることを目的に襲い来る、人魚軍団と戦う……中々キャッチーなあらすじの本作。
読んでみればところどころシモな表現も出てくるが、直接的なエロシーンはないのでご安心を(あるいは、がっかり、か?)。
本作のキモは、こうした奇をてらったような見た目ではなく、作品を貫く「ロック」という熱いテーマである。
主人公のヨシホも、人魚に翻弄される少女たちも、ネタバレなので伏せるが長年虐げられた●●たちも……みな、最初からロックか、あるいはロックに目覚め、自分たちを勝手に定義し、つまらない存在に押し込めようとする輩に反抗する。
てめーらの都合を勝手に押し付けんじゃねえ! 土下座して謝るまでブチのめすッ!!
これはそういう作品だ。そして、エピローグで、ムカつくからぶん殴るなどというともすれば浅い話から、更にもう一歩踏み込んでいるところに、この物語の真価がある。ぜひ、手を付けられた方は、ラストまで読みきって欲しい。
朝日とともに語られるエピローグは、少女たちの友情や、人ならざるものとの交流、これからの未来、解決しない問題は山積みながらも、きっと大丈夫だと感じさせてくれる確かな希望に満ちている。
荒削りなところも多い本作だが、このような素晴らしい纏め方をした作者のポテンシャルは、間違いのない輝きだ!