2章 創作の題材を探す

 さて創作を開始するに当たって、まずは書く題材探しについてです。

 

 自分にとって特別な物語を記したいのであれば、まずは自分の体験で最も印象的なものから、物語に還元していってみましょう。

 それが一番身近で、豊かな引出しになります。


 だから、念入りにやるのであれば、まずは自己年表(自分史)を作ってみてください。その中で各年代ごとに印象的だった出来事を列挙していって、改めて題材として取り上げられないかを考察してみてください。

 もしもあの時こういう行動をしたり、別の出会いがあればどうなっていたかなどの追求で、より劇的に演出することもできるでしょう。 


 自分の体験や関心分野で書くのならば、他人よりも強い意欲及び深い知識で書ける見込みが高いです。それは自身の強みにもなります。まずは自分が持つその武器を生かせないかを探ってみてください。


 完全に他人の土俵や自分のよく知らないことを書いても、まず意欲が続かず頓挫しかねませんし、自分を生かした優れた作品にはなりづらいでしょう。自分らしい作品を書いてから、そちらにチャレンジした方が賢明です。 



 ……とはいえ、大抵の人は限られた数の体験しか創作に生かせないと思います。個人の体験も感性も有限ですしね。また、作品にできるほど、そのテーマを深められておらず、未だ客観視できていないかもしれません。


 その場合は、その体験や関心事について書かれた著作を読んでみてください。そうすれば自分の中のモヤモヤについて整理できたり、あるいは自分はもっとこのテーマのこういう側面に言及してみたい!と自身の観点を深められるかもしれません。



 よりハードルを下げて単純な話にすれば、興味ある作品をどんどん読んで、どんどん感動してください。

 そこで感銘を受けたものをメモしていって、自分ならこう表現して、もっとこんな感じに書いてみたい!とかを深めていってください。自分がワクワクしなければ、他人をワクワクさせられません。


 着想はある作品に基づいていて近い題材を扱うとしても、あなたの着眼点・関心・描写を通せば、オリジナルのものになるはずです。

 感銘を受けた作品と、自分の関心事を混ぜてみて、新鮮味のある何かにならないか考察してみてください。


 もっとハードルを下げれば、率直にその作品を借りた二次創作をやってみるのもいいでしょう。オリジナルでなくても、勉強になる部分は多いはずです。 



 でも、いくら魅力を感じるからと言って、ごちゃ混ぜにしてすべて盛り込んでもあまり良くありません。作品のキャッチコピーやメインは絞ってください。表紙絵をスムーズにイメージできる程度にしてください。

 ○○な主人公が××をする。くらいに留めるようにしないと、収拾がつかなくなるし、何を書いているのか読み取りづらくなります。


 また、1度それを書くと決めたら、他の趣味や別作品への寄り道は程々にして、ちゃんとそれを書き切りましょう。書ききらなければ未練が残り、いつまでも同じテーマの周りをグルグルしかねません。


 

 ハードルは下げれば下げるほど書きやすくはなりますが、当然ハードルを高く設定したほうが力強い作品ができあがりやすいです。

 二次創作、思いつきを綴るよりも、自分の中で数十年闘ってきたテーマを書いた方が、凄味が出るのは当たり前の話ですね(腕に見合ったハードル設定をしないと、半端な出来になることもありますが)。


 しかし、ハードルを上げすぎて書けなくなってしまっても困りものなので、着想に至るまでハードル設定を調整しつづけることも大切だと思います。


 作品は書く気がある限り、いくつでも書けるのです。回り道や練習も良いではありませんか。

 興味深くて、結末まで書き切れそうな題材を探してみてください。 

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