3章 作品の骨組みを作る

 前章までの記事で、創作で何を書くかの題材は探し当てられそうです。

 では、それが見つかったとして、どのようにして形にしていきましょうか。

 

 これは本当に、その人次第で向き不向きが出てくると思います。

 

 私とて長編2つ、中編2つ、短編5つくらいしか完結させてないので、偉そうに指導できる立場でもありません。なのですが、少ない経験の実感のもとでも語るだけ語りたいと思います。



 まず一般論からですが、創作で最初に固める部分は「自分が一番ワクワクする部分から決める!」のが一番良いと思います。

 創作で一番大事なのは、執筆意欲です。最初から面倒で気が進まない部分を進めては、萎えるのは当たり前です。最初は意欲の火を絶やさないことに注力してください。


 キャラクター設定しているときが一番楽しいなら、そこからです。

 その他では、世界観、プロット(物語の流れ)、セリフの掛け合い、劇的なシーンまたはセリフ、テーマなどなど開始点はどこからでも良いと思います。


 とにかく自身が一番やってて楽しい部分から取り掛かって、モチベーションを高めつつ好きで得意な部分から埋めてください。


 個人的な経験則としては、劇的なシーンのイメージから始めた場合が、一番完結にスムーズな形で運べた気がします。完結させた作品のパターンは、どれもシーンの繋ぎ方が大体決まっていたように思います。


 ここで例として今あなたが「桃太郎」を書こうとしているとしましょう。つまり、鬼退治をする物語を書くと決めたとします。


 そこで出てきそうな劇的なシーンを考えます。

 当然鬼退治なので、鬼を退治する場面が出てくるでしょう。鬼が強いことを見せ付ける必要もあります。その鬼を倒すので、味方側も強くないといけません。


 勇気のある若者を主人公にしましょう。鬼はたくさんいるので、仲間もたくさん必要です。ただの人間の仲間では個性がないので、動物を仲間にしよう。……という感じで、繋げていきます。


 ここまでの要素を並べなおせば、

①幼少期に鬼に村を襲われる

②鬼を倒したいと思い、修行に明け暮れつつ成長

③村一番の勇猛な男になった主人公は旅に出る

④武勇を示して仲間を集めつつ、鬼退治の準備をする

⑤鬼の本拠地にたどり着く

⑥仲間の力を生かし、用意した道具を効果的に使い、鬼に苦戦を強いる

⑦鬼が最後の本気を出してくる

⑧鬼を倒す

⑨村に平和が戻り、終わり

 という形で、物語の流れが出来上がります。


 最初に劇的なシーン、これは大抵は題材に関連したものになるので、この題材ならば一番盛り上がるのはこれだろう!と決めます。そして、そこに向かうために必要なシーンを割り出します。


 つまり、クライマックスに向けた準備です。クライマックスに向けて、緊張感や期待感が高まるように、登場人物たちに準備をさせてください。


 先ほどで言えば、鬼はどんどん驚異的で凶悪で残忍で一刻も早く倒したい!と思わせるべきですし、主人公もどんどん試練を乗り越えて力をつけて、ひょっとしたら倒せるんじゃないか!という期待感を高めたりとするわけです。


 つまり、ゴールを決めて、チェックポイントを割り出し、そこまでを埋めていくというわけです。いわゆるプロット作りの流れですね。


 実際のお話はこんなに単純ではないので、一番劇的になるべき場面が数種類浮かぶ場合もあると思います。

 そのときはその候補を吟味して、どれかに絞りましょう。

 

 あれもこれもやってしまうと、クライマックスの前に読者か作者が満足したり、クライマックスが一番盛り上がるはずがそうでもなかったりと反発することがあります。

 山場は小山場として分散させるか(中ボス戦など)、準備や溜めに専念させて最後のみに絞ってください。



 ここまで劇的なシーンから流れを割り出しましたが、キャラや世界観から始まっても、やることはあまり変わりません。

 まずキャラクターまたは世界観を綿密にイキイキと仕上げます。そこでそのキャラが一番劇的に活躍できる場面は何かを考えます。

 世界観ならどの設定が一番面白いかを考えてください。そして、その部分にどうやったら至るか、どんな風にその設定を見せれば一番ワクワクするかを考えてください。あとの流れはシーンの場合と一緒です。


 さあ、ここまでの流れを追って、ウズウズしてきたなら、あなたは物語を書きたがっているということです! 私もなんか書きたくなってきたぞ! というわけで、今章は思い浮かんだ題材を物語の流れにするまで、でした。 

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