第7話 あとがき 全6話です ネタバレ注意!
職業柄、亡くなる人とよく向き合う事になります。
おじいちゃん、おばあちゃんならまだしも、子どもとなるとその死は私たちに強い衝撃を与えます。
困難を乗り越える方法の一つに「意味付け」があります。
きっとこの困難には意味があるのだ、そう思う事によって乗り越えられる事もあります。
でも子どもの死の「意味付け」は難しい。
わずか3歳でこの世を去った子。その子の死に「意味があった」なんてとても考えられません。
何度か子どもの死を経験し、私が見つけ出した「意味付け」は次のようなものでした。
「亡くなったことに意味があるんじゃない。生まれてくれたこと、3年も生きてくれたこと。その3年の間に見せてくれた笑顔、喜び、こだわり、感情その全てが宝物なんだ」と。
亡くなってしまったことだけを考えるとこんなに辛い事はありません。
でもそうじゃないんです。それまで生きてくれた、その事に意味があるんです。
偶然テレビで乳がんで母が亡くなった人を見ました。その人はどんな風に意味付けするんだろうか、そう考えた時この小説が生まれました。
それと、自分の好きな映画の一つ、「翼の無い天使」の一部も勝手に取り込んでしまっています。
母を亡くした美緒はその喪失感に何もかもうまくいかない毎日。
そこにとても尊敬できない神様が登場する。そして、大事なのは「亡くなった」ことじゃない、もっと大切なことがある、ということを教えてくれる、それにより美緒は再び前に進み始める、そんなストーリーが出来上がりました。
また、中学2年の女の子の視点で物語を進めるというかなり難度の高い設定に敢えて練習がてら挑戦してみています。そのキャラでなんとか誤摩化し誤摩化しの内容になってしまっていますが……。父と兄の独特なキャラクターも楽しんで頂ければと思います。
また後から気づいたのですが、夫婦というのはお互いのキャラクターがとても異なる事が多いような気がします。今回のケースでもおっとり、やさしいのほほん父と気が強く、きっとバイクで日本一周でもしてしまいそうな母。どんな出会いがあったのでしょうか? そして兄は父のその雰囲気を存分に受け継ぎ、美緒は気の強い母の成分を存分に引き継いだのでしょう、そんな事も考えると少し面白いかもしれません。
最近の小林 真央さんの件もありますが、死とそれをとりまく家族、それらを考えるきっかけになればと思います。感想をお待ちしています!
碧のぬくもり 木沢 真流 @k1sh
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