現代を舞台にした時間泥棒との戦い

世の中には私たちの時間を消費させる様々な物事が溢れている。
それが昨今のスマートフォンの普及に伴い、より顕著となった。
私たちの時間は見えない何かに――貪食な怪物「グラトン」に狙われるようになってしまったのだ。

現代社会を表した(風刺した?)題材は実に興味深い。あらすじを読んでぐぐっと惹かれてしまった。
かくいう私も、グラトンに取りつかれて暇さえあればスマートフォンやPCを弄っているような人間だ。
本作を読んでいると「画面の向こうには貴重な時間を費やすだけの価値があるか?」と問われているようで、苦笑いを浮かべるばかりである。

戦闘場面はスピード感に溢れる中にいくつか戦術も取り込まれており、一気に読ませてくる。
一方で、主役が誰なのか、それぞれのキャラクターの役割が何であるか。そのあたりがぼやけてしまっていたのが残念なところか。

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