実の父親から性的虐待を受けた50代の女性の自叙伝です。
最初のページを読んだから、自分が誤ったイメージを抱いていることを思い知らされ、読んだからには、また別の人に伝えねば、と思い、レビューという形を取らせて頂きます。
それは、世間一般で使われる「近親相姦」という言葉。
大人と子どもという力関係を前に、「お互いに」を意味する「相」はあり得ないと思った、という当事者としての声に、私ははっとしました。
また、近親姦の被害というのは、その時だけでなく、この著者のように50代になってもずっと心と体をむしばむものです。
著者が20代、30代、40代をどのように乗り越え、今このメッセージを発信しているか。
その重みは、私が語れるようなものではありません。
語れないからこそ、読んでみて下さいとしか、言えないのです。
性被害サバイバーです。
ずっと乖離していて、去年トラウマと対峙し始め、のたうち回る日々の中、この作品と出会いました。
これまでたくさんの本を読み漁ってきました、
だけど、これだけ「魂の言葉」で書かれた作品を、私は知りません。
一文字一文字、一文一文に、血が噴き出しそうなほど、なんと表現したらもはやわからないほど、著者の絶叫が濃く深く刻まれています。
胸を打たれて震えました、涙で何度も読めなくなりました。
喜怒哀楽が薄く、こんなに心を動かされることはめったにないので、動揺したりもしました。
著者はとても強い方で、そして優しい方だと感じました。
さいごのメッセージは、もう少し早く、薬漬けになる前に読みたかったです。
もっとも、若い頃ではなく、機が熟した今だからこそ、深く納得できるのかもしれませんが……。
それでも、若い頃に、この作品と出会いたかったです。
被害の後遺症に苦しみのたうち回る方が一人でも多く、この作品に出会えることを真に願います。
文章も大変お上手で表現力も豊かで、2日で読了しました。
圧倒的なノンフィクションでした。
フィクションであればどんなに良いことか……。
こんなことがあっていいのかと何度も考えました。
自分のことも考えられました。
著者の方にますますの平安が訪れますように。
勇気をありがとうございます。