ISM

唯一無二の親友、鈴木鳳介をして、「清々しいほどに人でなしのクソ野郎」と言わしめる高校一年生、伊澄奏太は暇を持て余していた。
入学式で配られた部活動紹介を片手に、片っ端から冷やかしにも行ってみたが、どうもしっくり来ない。
全ての部の先輩に悪い意味で顔を覚えられただけで終わった。

親友の姉には蛇蝎の如く嫌われ、
幼なじみの美少女には地獄に落ちろと罵られ、
再婚して幸せいっぱいの母と義父と義妹にはゴミみたいな目で見られる。

仕方なく扉を外して侵入した学校の音楽室で、伊澄奏太は勝手に拝借した備品のギターをかき鳴らす。
出会いはそこにあった。

――軽音部、入りませんか。

八つ当たりと葛藤と自己嫌悪に満ちた青春音楽ストーリーがここに幕を開ける。