不死身の和装少女はアキレスの俊足で駆け、傷付かず年老いず。
彼女の用心棒を務めるのは、吾輩は猫である二股の尾の化生。
古風で和風な絵になる2人は、信濃の山奥にはしっくり馴染む。
……という、一筋縄なノリでは進んでいかない物語。
泣澤神社というパワースポットが彼らを引き寄せた。
神社を預かる一族の娘が、まず狙われた。
現れたのは、場違いな吸血の化生にして半魔の、
つまりはヴァンパイアと人の合の子であるダンピール。
それを追ってきたハンターがまた舞台に似合わない、
シスター風コスプレの金髪巨乳ぽんこつ娘。
さらには、アンデッド仲間たちが登場するけれども、
魂と魄の結合がゆるゆるで且つ死んでる男の子とか、
400年間めんどくさがってる超絶回復力の朴念仁とか、
ビミョーに残念なあたりがナイスキャラな面々。
スリリングでスピーディーな展開はバトルのみならず、
しんみりからのコントに突入する会話も然り。
暴走上等な女性陣のパワーに圧倒されるせいで、
まじめに悪役してるおトミさんが霞んでる。
パワーインフレしてるテンプレ異能バトルじゃない。
弱点があって制約があって俺YOEEEからこそ、
度胸と機転で突破していくアクションがおもしろい。
痛快な展開も、突き抜けた個性の登場人物たちも、すごく好き。
苗字から連想したのか、猫又のせいなのか、やたら某久保先生の絵柄が浮かんできて止まりません。これはもう…漫画やな!!
このまま漫画化されてもおかしくない、原作のために描かれた物語という印象。魅力的なキャラが次々出てくる展開は、某少年誌を思い出さずにはいられません。
個性豊かなアンデットが、脱・不死を目指す珍道中。私はウッドデッキを片手にした彼が一番好きでした。
安定した構成やキャラ配置のバランス、さすがプロだなと思いました。読者が置いてけぼりになることもなく、長ゼリフも難なく入ってきてすらすら読めます。
構成って読者のためにあるんだね、知らなかった…。
親切丁寧な安心設計。職人技を見た気がします。蛇足ですけど、「兵やってた…」のセリフには思わず吹いた。