これが、人間の心に棲む「嘘」というものの姿。

嘘の使い勝手の良さ。
そして、嘘の後味の悪さ。恐ろしさ。

「嘘」というものが、この上なく細密に描かれます。
ひとは時に、こんなふうに嘘を使う。
人を騙すために。そして、自分自身を騙すために。
そして、一旦嘘が牙をむけば、こんな底なし沼のような恐怖感を味わって…
だんだんと迫る嘘の恐ろしさがリアルで、思わず息をのんで文字を追ってしまいます。

そして読み進めるうちに見えてくる、主人公の複雑な心の奥。

最後まで目が離せず、読み終わった後にさまざまなことを考えさせられる。そんな不思議な持ち味の作品です。


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