これが、人間の心に棲む「嘘」というものの姿。
- ★★ Very Good!!
嘘の使い勝手の良さ。
そして、嘘の後味の悪さ。恐ろしさ。
「嘘」というものが、この上なく細密に描かれます。
ひとは時に、こんなふうに嘘を使う。
人を騙すために。そして、自分自身を騙すために。
そして、一旦嘘が牙をむけば、こんな底なし沼のような恐怖感を味わって…
だんだんと迫る嘘の恐ろしさがリアルで、思わず息をのんで文字を追ってしまいます。
そして読み進めるうちに見えてくる、主人公の複雑な心の奥。
最後まで目が離せず、読み終わった後にさまざまなことを考えさせられる。そんな不思議な持ち味の作品です。