第2話嘘しか吐けない異能力?

「種族と能力名乗らないとここからは出さないよっ!」

うん。能力も種族もわかんねぇよ?どうすりゃ良いわけ?いや、ここはこの何故か嘘しか吐けない便利な機能を使って適当に言うべきだな。

嘘使いライアー。能力名?偽皇帝フェイク・エンペラー

ざっとこんなもんだな。やっぱり便利かも知れないな。この身体。別に真実、至極真っ当なんかで第二の(?)人生歩んでいく必要も無いはずだ。なら、適当に嘘で誤魔化して、良い方に進んでいけばそれで良いんじゃないか。と、俺は思う。これは悪人の考えが定着しているのか?違うよな?人間なんてこんなもんだろう。なんて、自分勝手に人間を語ってる俺はなんなんだろうか。まぁ、そんなことはどうでも良い。

「そんな種族名聞いたこと無いんだけどっ!なにそれ!能力名も意味不明っ!!」

少女は頬を膨らませ、物凄く反論する。そりゃそうですよね。だって適当だし。仕方ねぇだろ?…というか、俺はまずいことに気がついた。少女のワンピース?ローブか?よくわからんがとりあえず服の裾が箒に引っ掛かって普通に下着見えてるんだけど。俺にこれをどうしろと…とりあえずパンチかキック飛んでくるの覚悟で言うべきだな。逃げる体制を万全にして俺は言う。(自分でもチャレンジャーだと思うよ。マジで。)

「あのさー…下着。それ。見せてんの?」

駄目だまずい。これはいくらなんでも最低の聞き方だな。やっぱ恨むぞ。このゴミ能力。

「─っ!!」

案のじょう。涙ぐみ赤面した少女は俺に攻撃を仕掛けてきた。ここまでは予想もついていた。だが、まさか攻撃の手段が魔法とか思って無かった訳で。とりあえず魔法は俺に直撃してすごい距離ぶっ飛んだ。飛んだなら勿論着地もある。俺はバランス崩したまま(しかも思考回路ショート寸前で)着地出来るほどチートじゃなかった為、思いっきり住宅街の大通り(今までは路地裏のような所に居た。)で八百屋らしき店にぶつかった。で、とりあえず右腕を骨折したやっちまった。幸い俺は左利きで、特には支障は無いのだが、流石に折れたとなると痛い。顔には絶対出さないが。さて、さっきのアマどうしてくれようか、と思い、人の視線を大量に浴びながら(なにしろ大通りだからな。)立ち上がった時、さっきとは違う少女に声をかけられた。

「おい。なんじ。何処に行っておった。探したのだぞ。我が探してやったのだ。感謝しろ。」

俺は瞬時に悟った。こいつが俗に言う厨二病とか言う奴だと…一人称が我で二人称が汝?絶対ヤバイ奴だと思ったが、流石に探してくれて居たと言われれば、何なのか気になる。

「誰だ?」

「我が名を忘れるなど、笑止千万。だが、致し方ない。我が名はリクシード・フランシス!いずれこの帝国を統べるあるじと成る者!」

致し方ないとは言うわりにノリノリだな。あまりの厨二イタさに本名なのか疑いたくなるのは俺だけだろうか。

「リクシードか。何故俺を?」

とりあえず厨二なことには突っ込まず、穏便に済ませるべく、俺はまともに最大の疑問を聞くことにした。

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