第6話敵は美少女。

「始め!」

センセーが叫んだ瞬間魔術を使って良いということしか聞かされていない俺にシェルエルが容赦なく襲い掛かって来た。

「テストですので私情は持ち込めません。私も本気でやらせて頂きます!」

いや、『襲い掛かって』と言うには、あまりにも可憐過ぎるが。考えている間にもシェルエルは攻撃を仕掛けて来る。

「っ…」

とりあえず避けれるモノは避けてきたが、だんだんシェルエルの狙いは正確になり、放ってくる呪術が俺の右肩を貫いた。…………

「マジかよ…」

ん?今思ったのだが。折れていたハズの右腕が治っている。何故だ。不思議に思い、右腕を見やり、シェルエルを見ると、“今気付いたのですか?ずっと前から治ってますよ?”と笑われてしまった。まぁ。結局右肩をやられたので負傷で動かなくなった訳だが。さぁ。こんなことを考えている場合ではない。本気でまずい。勝たないと処刑だ。だが、どうやって勝てば良い…俺の魔術…と言っても良いのだろうか…いや、もう魔術と仮定してしまおう。ここに居る以上そう考えた方が手っ取り早い。改めて。俺の魔術はただの嘘だ。嘘しか吐けない。これでどう戦えば良い…心に嘘をついて嘘を本物にする…つまり、逆の逆で正直な事をすること、これは無理だった。どうやっても嘘しか吐けない。なら負けようと思えば勝てる?…違う。本心から負けたいと願わないと無理だ。なら俺はどうやったって勝てない…?いや、待てよ、俺はを吐ける。を言う魔術士じゃねぇ。なら…本当のことで無いなら…何だって良いんだ。やっと活路を見出だせた。このくそったれな異能力の。俺は嗤っていた。そして、そのまま、まるで嘲るように、それを楽しむように告げる。

「俺の勝ちだ…」

「っ!?…アルフィシュシュール!」

シェルエルは一瞬、俺の狂気に気付いたのか、飛び退いたが、すぐ水の刃を腕に宿し、腕を振ると攻撃が放たれる。

だが、俺だって嘘の異能力者だ。そう。実は、もうひとつの使い方を学んでいた。だが、実戦に移す程度ではなかった。もしかしたら、と思う程度の弱い認識だったからだ。だが、確信した。俺はが出来る。例えば俺は世界がどうなろうと知ったことじゃないが、“明日世界滅びる”と俺が言ったとしよう。本当に滅びるぞ。確信したのは、俺の右腕の件で、だ。俺はノノに右腕が折れたと言って折れた腕を見せたか?否。と言った。嘘しか吐けないからだと思い込んでいた。だが、この異能は真実をねじ曲げるモノらしい。折れていた真実を、俺の嘘でねじ曲げ、折れていない今の状態を作り上げた。なら、出来るはずだ。勝つことだって。

「トロい。」

技のモーションに入る前の僅かな隙にシェルエルを回り込んで背後に立つ。そして───

「俺は本当は淫魔なんだ。」

と、嗤って嘘をシェルエルの耳もとで囁き、シェルエルを催淫。

「えっ!?…そんっ…ひゃうっ…耳もとで…やめてっ…」

ヤバイわ。予想異常に破壊力だった。優等生が乱れるとこうなるんだな。

「大丈夫。見えてないから。」

勿論センセー等からは見えている。が、俺の嘘でねじ曲げた。優等生に俺のせいで傷がつくのは嫌だし、見えないことにしてしまえば良いというだけの簡単な作業なのだから。

「そういうっ…問題じゃっ…なぃっ…ですっ…」

凄いヤバイ。色々ヤバイ。シェルエルの頬に手を当てると、言葉が途切れ途切れになっていて、さっきまでのしっかりとした、優等生でない、なんて言えば良いのかわからんが凄く、淫らな感じが良い。だが、そろそろやめないと、な。

「ほら。見られるよ?」

俺はシェルエルからそっと離れ、催淫の効果をいた。

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