嘘吐き皇帝と魔術少女

a.p

第1話コードネームライ

「あ、貴方が皇帝!?絶対駄目っ!!何でどこの誰ともわかんないような貴方が!!」

絶対に……おかしいよっ!一体私はどこで間違っちゃったのっ!?何で目の前に立ってるこの得体の知れない奴が…!


~かなり時間を過去に、そして普通……?というか、魔法の使えない世界へ飛んで…~


はぁっ…はぁっ…ようやく逃げ切ったか…ったく…俺としたことが…

「大丈夫かーライー?」

「大丈夫…なワケあるか!…はぁっ…」

「ごめんごめんっ!じゃ、あとでなー!」

無線から聴こえるチーム仲間の声を適当に流してしまう俺。ちなみにライと呼ばれているのが俺。コードネームがライだからだ。それにしても…はぁーっ…しんど…そこら辺に適当に腰掛けた(…いや、崩れ落ちるの方が正しいかもな)とたんにまさかの潜入警察様かよ…まぁ、結論で言うと、呆気なく捕まったのである。絶対さっき飲んだところのバーで変なヤク盛られたな…身体思うように動かねぇんだけど…さぁ。どうしようか。いくら俺がスパイみたいな(本当はもっとダセェ仕事だけどな)ことやって稼いでるから仕方ねぇんだろうけどよ?まさかこんなに…いとも容易く捕まるとか思って無かった訳で。現代の警察スゲェとか感心したくなるね。はぁ。まずいな。このままだと死刑か。流石に国家反逆罪か…だって政治家が実は税金六割自分の所得に…しちゃってたりしたんだもんなぁ…そんなのバレたらそれこそ死刑もんだしなぁ。死物狂いで俺探しだしたんだろうなぁ。潔く死んでやる義理もねぇが…逃げたって変わらんだろう。逃げたところで死刑囚に良い人生なんざ残ってやしねぇ。なら………死んだ方がマシだろう。このままつまらねぇ退屈で暗い日々をこそこそ隠れて暮らそうってか?絶対ぜってぇ嫌だね。それなら派手に散ってやろう。斬首はしばらく意識あるらしいが…



とまぁ。俺は死んだ。予想通り斬首。痛かったかって?不思議と痛みは感じ無かったな…景色は鮮明に覚えているが。…なんで語れてるか?…俺に教えてくれ。俺にも理由ワケがわからん。何故か生きている。ただし。人は空飛んでて、杖とか箒とか持ってて…っていう場所に居る。うん。ゲームか!ゲームなのかここは!!

「全く…素晴らしいな…」

!?今俺は何を…?…思ったのは『全く、嫌なトコに…』だ。なのに…一体何なんだマジで…ヤベッ!誰か来やがった!

「もしもーし!逃げたって見えてるんだから!…おわっとっと!…君。だーれっ?」

箒に辛うじて、俺でもわかる位ギリギリで乗っている…(ぶら下がっている?)少女が言った。

「俺かい?…俺はライ。」

はぁっ!?!?誰だそいつ!ここは本名言ったつもりだった!コードネームを言うつもりじゃ…待てよ…?俺は嘘しか吐けなくでもなったのか…?

ライ?…変な名前!種族と能力名乗らないとここからは出さないよっ!」

と少女は何故か俺の前に仁王立ち。うん。今やっと箒から降りて来てわかったけどこいつチビだなぁ…なんも怖かねぇんだけど…種族と能力?はぁ?こいつはちょっと頭がポンコツなのか?それともあれか?俺がやっぱり俗に言う異世界とかいう別世界に来たってことか?しかも嘘しか吐けねぇだと?とりあえず…この世界の説明を。誰か頼む。マジで。

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