第3話馬鹿と厨二と天才様。

「リクシードか。何故俺を?」

まともに最大の疑問を聞くことにした俺は、リクシードの答えに愕然とする。

「何故?我が汝の救世主に成ってやったからな…」

長くて、おまけにくどい、厨二な言い回しが鬱陶しいので、簡潔に俺がまとめよう。要するに、俺は何故か、リクシードの家の近くで座って居たらしい。リクシードが色々俺に問い掛けるも反応は無いしで、病院に行く金も学生(ここにも学校はあるらしい。魔術学校とやらが。)なので持ち合わせて居ない。だが良心が放って置くのは良くないとリクシードに訴えかけ、面倒を見てくれていたそうだ。こいつは厨二だが、悪い奴では無いらしい。厨二だが。何度でも言おう。こいつはだ。

「ふーん。で、それは別に良い。ここは何処だ。」

駄目か。心に嘘をついても本当の事は言えないのか…神とやらが要るのなら、とんだカス能力をくれたもんだ。心では精一杯ありがとうを言っておいてやろう。

「汝は感謝の言葉すら言えない低能だったか…まぁ、知らないので有れば仕方の無いことだな…此処ココはシュベランデルク。大帝国だ。だが、近々皇帝が引退なさるそうでな…我は皇帝志願の為、この帝都で独り孤高に暮らしておる。」

お前の事は聞いてない。とかは流石に可哀相なので口にはしない。皇帝志願やら大帝国やら訳のわからん言葉が多すぎるが。とりあえずこれだけは聞いておかねば。

「ここでは魔法が使えるのか?」

するとリクシードは何故か激怒して言う。

「魔法!?そんな低俗なモノと一緒にするでない!魔術である!まぁ我は…孤高の魔術士ゆえ…誰にも才能を理解されないのだが……」

魔法と魔術の違いがわからん。まぁ、つまりはリクシードは魔術使えないのか。よく理解した。魔術の国なのに使えない癖に皇帝志願だと?無謀にも程がある。と、思っていた所にさっきのアマが猛ダッシュでここまで走ってきた。何故か泣きながら。

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいーっ!!」

おいおいどうしたんだよ。さっきとは裏腹の態度だな?

「何。つかお前。名前は。」

どこまでも冷淡な口調の俺。やはりこの能力を棄てたい。

「ノノ・フィルル…あのっ…さっきは、本当にごめんなさいっ!!そこまで吹っ飛ばすつもりは無かったのっ!…ただ、ちょっと弱いパンチ位の威力のつもりが…私…落ちこぼれだから…」

泣くのはやめて頂きたい。俺は泣かれても何をして良いかなんてわからん。前世(?)で罪人だった奴に何を望んでるんだ運命は。

「骨折れてねぇから別にいいけどよ。」

そう言って、見てわかる位バッキリ折れた右腕を見ておそらく嘲笑を浮かべているであろう俺は、本当のクズだな。こんなに自分を嫌いになったのは久しぶりだ。

「そ、それっ、折れてっ………ごめんっ!本当にごめんなさいーっ…」

「勝手に泣いとけ。不細工が余計不細工になるだけだ。不細工の下着がどうであれ、俺には損しかねぇからなぁ。」

「むーっ!!なんなのーっ!!貴方本当ムカつくっ!!」

よし。大丈夫。多分上手く誤魔化せたな。そして俺に切れながら殴り掛かってくるノノを避け、俺は嗤い飛ばす。「馬鹿じゃねぇ?」と。まぁ、ノノと、何故かリクシードも参戦して、追いかけっこをしていると、とんでもない美声としか言い様のない声が響いた。

「ノノ。遅刻しますよ?…あら…そちらは?」

うん。最高の美声美少女だ。

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