生と死の境目を教えて下さい

ミウ天

叙説への前口上

 私が初めにこの言葉を呟くのは、果たして適切なのかどうかわからない。

 ある人は私を馬鹿にしたり、信じようと努力しても良くて半信半疑に止まってしまったりするような、そんな話だ。

 私がこれから語るのは、ある人は不可思議と呼ぶかもしれない。ある人はオカルトと呼ぶかもしれない。またある人は与太話や作り話と断言するかもしれない。

 しかし、敢えて断言しておこう。これは、事実であると。

 私は確かに体験し、認識し、理解し、受け入れた。

 この世界の『境目』は、ただ地面に線を引かれた見た目だけのものに過ぎないということを。

『生と死の境目』は、誰にもわからない。だからこそ、世界のシステムを騙せるのだ。

 生者はこう答えるだろう。

『そんなことができるわけがない』

 死者もこう答えるだろう。

『そんなことは不可能だ』

 私自身も、おそらく同じ答えを出していただろう。今までの私ならば。

 私は知ってしまったのだ。

 この世界が、いかに緩くできているのか。

 この世界が、いかに理不尽に見えるのか。

 この世界を、いかに理解していないのか。

 ああ、やっぱり私に文才はない。

 もういい。書きたいことは、別に哲学的な語りじゃない。

 このままだらだらと続けて、下手な尺埋めをしてもしょうがない。

 誰かに読ませるわけでもないし。

 ただ、記録に残す。ただ、それだけ。

 そう、『生と死の境目を曖昧にする少年』の話を。

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